学生生活

2018年06月19日

国際・留学

仁済(インジェ)大学校国際交流(クリニカルクラークシップ)

  九州大学医学部医学科では、韓国の仁済(インジェ)大学校医科大学、慶尚(キョンサン)大学校、釜山(プサン)大学校の3大学と学生交換交流を実施しており、平成30年4月9日(月)~5月11日(金)の期間に医学科6年生1名が、仁済(インジェ)大学校医科大学を訪問しました。

 現地では英語を使用し、授業外の時間も韓国の学生と食事を共にするなど交流を深めています。

国際交流 (医学研究院のウェブサイトへリンクします。)
仁済大学での実習を終えて
 
医学部医学科6年 吉増 崇志
 
 
 
  この度、私は4月9日から5月11日までの5週間、韓国の釜山にあります、仁済大学で臨床実習をさせていただきました。最初の2週間は救急科、次の1週間は産婦人科、最後の2週間はICUで実習を行いました。もともと韓国や中国などの東アジアに興味があったことや、過去にディベートの国際大会に出た際に韓国の学生が英語をものすごいスピードで話していたことに影響を受け、今回の留学に参加しました。かかる費用が少ないことにも背中を押されました。
  実際かかった費用は、海外旅行保険が2万円程度、フェリー1万円強、韓国への先生のお土産代が4千円程度です。また、滞在した5週間で約5万円を現地で使いました。私が回っていた科には学生がいない週も多々ありましたので、学生との交流が増えるとこれよりかかると想定しておいたほうがいいでしょう。
 
山での生活
  寮は1人部屋で結構広く、冷蔵庫、洗濯機、トイレ、シャワー、机、パソコン、Wi-fi、ドライヤー、ハンガー、電気ケトルなど、主要なものは全て揃っていました。唯一アイロンがなくて、実習の最後の方になると白衣がシワシワでした。また、寮のトイレのドアが壊れていて、一度閉めると開かなくなりました。あとで修理してもらいましたが、これは注意しておいたほうがいいでしょう。食事は病院の食堂にて無料で提供されました。
 
ち物について
  コンセントの変換プラグは必ず購入してください。旅行保険の次ぐらいに大切かもしれません。ポケットWi-fiは持って行きませんでしたが、予算に余裕があれば持って行ったほうが良いと思います。
 
語について
  韓国の学生は医学用語をほとんど英語で覚えているため、医学英語がわからないと会話がチンプンカンプンになる恐れがあります。最低限の医学英語は覚えていったほうがいいでしょう。英語を話す能力自体は日本人とほとんど変わらないので、その点心配はありません。学生は英語を話せる人が多いという印象でした。

 
急科での実習
  基本的には学生と一緒に手技を見学することになります。救急科の教授はとても忙しい人ですが、毎日必ず時間をとって珍しいケースなどを教えてくださいました。韓国の抜管に関わる倫理的問題について考察を深めたくなったので、教授にお願いし、最終日にプレゼンをさせていただきました。せっかく外国にいるので、積極的に英語でプレゼンすると良いと思います。

婦人科での実習
  主に婦人科で実習を行いました。手術や超音波を見学する毎日でした。使い捨てでないガウンや、縫合などをする担当のナースの存在など日本との違いも多く感じ取ることができました。
  
I
CUでの実習
  教授の先生を始め、スタッフの方も積極的に英語で話しかけてくださり、心電図の読み方なども教えてくださいました。また、韓国の徴兵制度や医療制度などについても話を伺うことができ、ここでも日本との違いを多く感じることができました。  
  
国の学生
 
韓国の教科書
  英語での会話能力は日本の学生と変わりませんが、医学英語ははるかに多く知っていました。その分韓国語での用語を知らなかったりという一面もありました。概して、日本の学生とあまり変わらない印象を受けましたが、仁済大学の学生教育への意識は強く、学生は毎日SOAP形式の宿題を与えられ、患者さんに問診もしていました。教授の先生方はどんなに忙しくても学生のレポートを毎日チェックし、アドバイスを与えていました。PBLや症例のプレゼンなど、発表したり、スタッフの方と議論したりという機会は日本の学生よりはるかに多く持っていました。学生の勉強時間は日本の学生よりもはるかに長いと感じ、学生がクラブ活動をしないという一面もこのことに影響しているのかもしれないと思いました。

  
  
    
地での旅行
 
ソウルの戦争記念館
  釜山を始め、ソウル、慶州など遠くまで旅行に行きました。韓国は交通費が安いので積極的に旅行に行って文化に触れると良いと思います。釜山ではUN朝鮮戦争記念公園、ソウルでは戦争記念館などにも行きました。日本の朝鮮の植民地化や竹島の問題など、韓国でどのように取り扱われているのかを知ることができ、とても有意義でした。実習の最中には日本の国家試験の勉強をしている小児科医の方からも、韓国から見た日本の話を伺うことができました。留学中はその国から見た世界を感じられるように努力することが大切ではないでしょうか。



        
    
学を終えて
 
慶州の仏国寺
  留学中は伝えることの大切さを痛感しました。コミュニケーションとは、英語の能力ではなく、伝えようとする意思に左右されるということを様々な場面で実感しました。私が韓国語を話せないことがわかっていても韓国語を使われたり、逆に会話することを避けられたりする場面も多くあり、その度に、我々日本人も日本にいる日本語が不慣れな外国人に対して同じような対応をしてしまう時があることを思い起こしていました。また、英語が得意ではないけれど伝えようという意思を持って話しかけてくださった方には、感謝の心が自然と湧いてくるものです。また、少し英語ができるからといって、早口で話したり、難しい言葉を使ってしまうと伝わらないことも多いですが、伝えようと思っていれば、自然と相手の語彙とスピードに合わせようとするものです。
  さらに、国によって世界の捉え方が全く異なることも感じました。お隣の韓国ですら日本と異なるところが多くありました。
  医学英語を含め、日常会話の面でもまだまだ不得手を実感した留学でした。日本に帰ってからは一医療者として、英語のみならず、国際的な視野を自分なりに確立していきたいと思っています。

  今回は大変貴重な体験をさせていただきました。九州大学の先生や韓国の病院の医師、学生、その他全ての関係者の方々にこの場を借りてお礼申し上げます。
  
  興味を持った後輩は是非参加してみてください。

    

 

 

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