学生生活

2023年09月13日

国際・留学

慶尚(キョンサン)大学校国際交流(クリニカルクラークシップ)

 
  九州大学医学部医学科では、韓国の仁済(インジェ)大学校、慶尚(キョンサン)大学校、釜山(プサン)大学校の3大学と学生交換交流を実施しています。各大学から、九州大学病院での臨床実習の受入れを行い、また、本学科から各大学へ短期留学(クリニカルクラークシップ)を行っています。
  留学に参加した学生は、母国とは違う医療の現場を肌で感じ、質問もコミュニケーションも英語を使用しなくてはなりません。通常の大学生活では得られないこのような経験は、それぞれにとって貴重なものとなっています。

  本年度、    慶尚(キョンサン)大学へ留学した学生の感想文を掲載します。
 

人生初の留学を終えて〜慶尚大学病院での実習〜

野方 保孝

2023年5月15日〜6月9日まで慶尚大学病院にて病院実習をしてきました。きっと一生大切にするであろう学びと経験ができた留学でした。僕の体験記をこちらに残しますので、来年度以降、韓国での実習を迷われている方の力になれれば幸いです。

実習

僕は韓国と日本の文化的に違いがありそうな領域を見てみたいという思いで、精神疾患のエピソードの違いを知りたくて精神科を、家族感情の違いに興味をもって産婦人科を選択しました。それぞれ2週間ずつ回りました。 精神科では初めの1週間は学生と回りました。精神保健福祉施設で通所されている方に曲当てゲームなどを企画して提供する実習が印象的でした。こちらでは医師の先生が何かレクチャーすることよりも、学生主体の実習が多かったように感じます。後期研修の先生の講義でも、治療に正解を出すことが難しい疾患についての議論を提示してくださり、非常に興味深かったです。 2週目は学生が回っていなかったので、医局に基本的に待機しながら、救急での対応を見学したり、患者さんと遊んだりしました。実習の合間に、精神という不確かなものからどう情報を引き出し、どう扱うかという問題について、方法論を中心に教えて頂きました。患者さんのエピソードの中にも、例えば軍に関わることなど社会的な違いが見られ、興味深かったです。また、生い立ちから愛情に飢えているが故の行動をとってしまうような症例も見学しました。その問題の困難さは帰国した今も印象深く残っています。 産婦人科では基本的に手術を見学しました。僕の家族感情についての興味を伝えるとprofessorの先生が「11歳の息子がいるから、家で一緒に夕飯食べる?」と誘ってくださいました。お子さんとお話ししたり、先生や旦那様からその馴れ初め、お子さんの将来についてなどについて伺えました。韓国と日本で多少アプローチが異なる部分もありますが、親が子を対する気持ちに文化の差をそこまで感じませんでした。国とか関係なく、家族の数だけ形があるのかもしれません。 最終週に自己紹介と九州大学病院、そして将来の夢についてプレゼンしました。英語でプレゼンするのは初めてでしたが、今回の研修の集大成として、英語で自分を表現することは非常に充実感がありました。

英語

今回の留学で最も印象的といいますか、自分の認識に影響を及ぼす強度で感覚を変えられたのは英語でした。英語については、僕はプログラミングや作曲で情報を集めるときに使うくらいで、意識してこれまで勉強してきませんでした。 しかし向こうで実習をし始めると、違った文化で育ってきた学生や医師の先生方とお話しするのが楽しくて、方言を覚えるように自然に上達していきました。お互い第一言語でない言葉で、お酒を飲みながらノリやテンポを共有し、互いの深いところにある考えを示し合うのはすごく心地よかったです。制限されたボキャブラリーで、少ない文型しか手持ちにない状態で思考するからこそ、第一言語では澱みがちになっていた思考もすっきり気持ちよく伝えられたのかなと分析しています。口や手を動かして伝え、相手からのフィードバックを受けコミュニケーションへの理解が深まり、それを受けてまた身体を動かして上達していくのが凄く気持ちよかったです。これから他の物事に取り組む際も、こんなフィジカルなアウトプット主体のループの感覚を忘れず、大切にしていきたいと感じています。

生活

慶尚大学のある晋州は自然豊かで、美味しいご飯屋さんも多い住みやすい街でした。大きな川が流れており、ランニングしたり、小説を読みに行ったりしていました。学生の皆さんや先生方も頻繁にご飯に連れていってくれて、韓国の食文化について紹介してくれました。精神科の実習中に誕生日を迎えたのですが、サプライズで祝って頂き、大変嬉しかったです。 また、バスなどで毎週末旅行に行きました。4回あった週末では順天・麗水(1泊2日)/全州・ソウル(3泊4日)/慶州(1泊2日)/釜山に行きました。学生の皆さんや医師の先生方に聞きながら旅行先は選びました。最終週に1日祝日があったため、同じ実習班の友達が、彼の友達を集めて晋州オリジナルツアーを敢行してくれました。 全州やソウルでは外国人用ゲストハウスに泊まり、少しだけ上達した英語で、ダンスミュージックについてなど、様々な国の旅行者と会話できたのが楽しかったです。これからワーキングホリデーでオーストラリアに行く同い年の日本の方との出会いも素晴らしく、考え方が似てたこともあり、帰国後すぐに再会したりしました。

留学を終えて

同じ時であったり、空間であったり、思想であったりを他者とわかちあう素晴らしさを何度も実感できた留学でした。帰国してからも、海外から来日した方とも積極的に交流するようになりましたし、将来的にもっと海外の人とも共有できるようなものを作っていきたいと思うようになりました。僕はもともと海外旅行が好きで、これまでいくつか他の国に行ったことはありましたが、同じ場所にしばらく住むという経験は、それらとは全く違った感傷を僕に与えてくれました。後輩たちにも行くことができるなら、是非行ってみてほしいなと思います。もし何か聞きたいことなどありましたらFacebookなどでご連絡ください。
今回このような大変貴重な機会を準備してくださった慶尚大学、九州大学の皆さん、本当にありがとうございました!

  • 産婦人科の医師の先生方と

    産婦人科の医師の先生方と

  • 実習斑のメンバーが晋州をガイドしてくれました!

    実習斑のメンバーが晋州をガイドしてくれました!

  • 精神科での実習斑でサムギョプサル

    精神科での実習斑でサムギョプサル

  • 精神科の実習で曲当てゲームをする学生

    精神科の実習で曲当てゲームをする学生

  • 野方_旅行でいった順天の湿地

    野方_旅行でいった順天の湿地

  • 野方_寮近くの川

    野方_寮近くの川

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