学生生活

2014年06月11日

国際・留学

仁済(インジェ)大学国際交流

 九州大学医学部医学科では、韓国の仁済(インジェ)大学、慶尚(キョンサン)大学、釜山(プサン)大学の3大学と学生交換交流を実施しており、平成26年3月10日(月)~3月14日(金)の期間に医学科3年生3名が、4月7日(月)~4月25日(金)の期間に医学科6年生3名が、仁済(インジェ)大学を訪問しました。

現地では英語を使用し、「PBL」や「Skills Lab」への参加や韓国の病院見学を行いました。授業外の時間も韓国の学生と食事を共にするなど交流を深めています。

国際交流 (医学研究院のウェブサイトへリンクします。)



   仁済大学での臨床実習を終えて
医学科6年 岡口芽衣

平成26年4月7日から25日の3週間、釜山にある仁済大学海雲台(ヘウンデ)白病院の神経科で臨床実習に参加させていただいた。
今になってこそ明かせることだが、友人の誘いに乗って、申込期限ぎりぎりに半ば勢いで申し込んだようなものであった。参加希望が通ったのは良いものの、これまで海外に行った経験がなく、初の海外で3週間という長い期間を過ごすことに関して不安が募っていた。

病院での実習


実習に参加して驚いたことは、私が実習に参加している期間、毎朝のカンファレンスでの新患紹介や論文の抄読会、実習中の学生向けの講義など、患者さんとの交流以外のほとんどすべてのことを先生方が英語で行ってくださったことである。韓国では医学教育において英語のテキストや用語を用いることが多いということで、学生の医学英語の知識レベルも九大の学生と比較して非常に高いと感じた。また、実習中に体験した症例に関して疑問点をもった時に英語の論文を参照する習慣があることにも驚いた。教科書の知識だけに頼るのではなく、実際の臨床に基づいて考える訓練を学生のうちからしているのだなと感心した。そして実習の一環でPBLに参加した際に、1日目の討論で分からなかった点などを論文を読みながら学生どうしで検討し合うという貴重な体験をさせてもらった。

友人との交流


韓国での実習で得たものは医学に関する知識や経験だけではなかった。私と時を同じくしていた仁済大学の学生は同じ6年生で、実習の空き時間には国家試験の話や学生生活の話など互いのことについて多くのことを話すことができた。また、せっかく釜山に来たのだからと、色々なオススメのスポットや食べ物を、全て体験しつくせないのではと思うくらいに教えてくれたり、実際に放課後に遊びに連れだしてくれたり、以前に九大での実習に参加していた他の大学の学生も遠方からわざわざ週末に遊びに来てくれたりと、韓国の人達のホスピタリティを深く感じた。

最後に


不安な気持ちで臨んだ実習であったが、先生方の御厚意や新しい友人たちのおかげで楽しく充実した3週間を送ることが出来た。医学に関してのみならず、韓国という国そのものへの興味も深まり、このプログラムに参加して本当に良かったと感じている。
これから医学の道を進んでいく中で、再び彼らに巡り合える日が来ることを楽しみに思っている。
 



   仁済大学病院実習感想文
医学科6年 真子知美

 
私は今回4月7日からの3週間、釜山は海雲台に位置する仁済大学海雲台白病院の消化器内科で実習をさせていただきました。韓国の大学病院では一つの診療科に複数の教授が在籍しており、私が実習を行った消化器内科では1人の教授に学生1人がつくというシステムをとっていたため、3週間1対1でMoon教授に指導していただき大変勉強になりました。1日のスケジュールとしては、まず朝に消化器内科や内科全体のカンファレンスがあり、その後教授や医員、研修医、学生からなる5人ほどのグループで受け持ち患者の回診をします。外来見学が午前か午後の半日あり、それ以外の時間は 消化管内視鏡や腹部超音波、EUS、ERCPといった検査の見学や病棟業務を行いました。


国際交流という目的に加えて地域医療実習のような経験を

私は韓国語がある程度聞き取れることもあり、教授の外来にはすべて参加させていただき、大変多くのことを学びました。韓国の大学病院は日本のそれとは異なり、紹介状を持参せずに初診で外来にやってくる患者さんも多く、日本でいう市中病院や開業医の役割も果たしています。そのため半日の外来で診る患者数は1人の医師で20~30人と大変多く、日本の大学病院ではあまり見ないような胆石症や肝硬変、胃食道逆流症といったcommon diseaseをたくさん見ることができました。問診から身体診察、検査、診断という一連の流れが無駄なく行われ、繰り返されるのを目の当たりにし、今までの外来見学とは異なったため新鮮に感じました。この点で、国際交流という目的に加えて地域医療実習ができたような、良い経験となりました。また、Moon教授はERCPやEUSを頻繁に行われており、何度も見学することができました。日本での実習では見る機会がなかったのでとても興味深く、また検査中や検査後には丁寧に説明していただき、理解度も高まりました。


医学英語の重要性を身にしみて感じた

韓国の医学生の英語力については、今まで見てきた留学生の印象として英語の能力が日本の学生よりも高く、ネイティブレベルの人も多いという印象でした。実際に行ってみると、確かに帰国子女の割合も高く、ネイティブ並みの発音で流暢に英語を話す学生の割合は日本よりも高いようですが、すべてがそうではなく、ほとんどの学生は日本と変わらないくらいの英語力であると感じました。ただ、大きく異なったことはやはり医学英語の定着度が違うということです。韓国での医学部では専門用語を英語と韓国語の両方で学び、試験でも2通りの表記を求められるそうです。実務上も患者さんに説明する時はもちろん韓国語でしたが、プレゼンテーションでのスライドや病棟での医師間の会話では疾患名などはほぼ英語でした。日本ほど教科書や文献が豊富ではなく、英語で書かれた教材で勉強することが1つの理由だと思います(実際にMoon教授が翻訳されたSTEP内科の韓国語の教科書を見かけました)。しかし論文や国際学会、留学などを考えるとこのことがとても有利にはたらくことは言うまでもなく、英会話の能力だけでなく医学英語の重要性を身にしみて感じました。

また、院内には学生が使用する実習準備室があり、実習の空き時間や昼休みなどはそこで現地の学生と会話をして過ごしました。近所のおいしいお店や流行しているものなど身近な話題から医療制度や医学教育の二国間の差についてまで様々なことを聞くことができました。実習グループが違ってもとてもフレンドリーに話してくれて、夜には一緒に夕食を食べに出たりボーリングをしたりと親交を深めることができました。また、Moon教授には慶州に観光に連れて行っていただき、とても良い思い出になりました。


医学的にも文化的にも学ぶことが多かった

3週間の実習は長いようで終わってみると短く感じ、しかし実に充実し内容の濃い経験となりました。医学的にも文化的にも学ぶことが多く、そして何より楽しい3週間でした。常に気にかけていただき、多くのことを指導してくださったMoon Young-Soo教授には大変感謝いたします。消化器内科の医員、スタッフの方々、Seok教授温かく迎えていただきありがとうございました。そしてこのプログラムの責任者である康東天教授、私たちの要望を受け入れ、尽力していただきありがとうございました。今後もこのプログラムにたくさんの学生が参加し、韓国での有意義な実習が経験できることを願っています。
 
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