教授からのメッセージ

教授からのメッセージ

Interview

医学を志されたのはいつ頃ですか。

 父が一般外科の開業医をしており、私は幼少の頃、病院の上階で育ったため医療に馴染みがあり、自然と将来の選択肢になりました。中学、高校の頃には小説の影響で弁護士も良いと感じましたが、患者さんの回復によって結果をはっきりと実感できる外科医に魅力を感じ、高校3年生で医学部への進学を決めました。
 

どのように学生生活を過ごされましたか。

 部活でラグビーに打ち込んだり、仲間同士で勉強会をしたり、授業外が特に充実していたような6年間でした。私は京都大学医学部に進学したのですが、京都大学は自由な校風で、学生各々が充実した時間を過ごしていました。はじめの2年間は一般教養を学ぶのですが、授業に出席すると、「なぜ出席しているんだ。」と名物教授の数学の先生から冗談を言われるくらいで、私もほとんどの時間をグラウンドで過ごしていたような記憶です。その甲斐あってか、西日本医科大学学生総合大会では3位以内入賞を4回、6年次には優勝をするなど好成績を収めることが出来ました。

 3年次から医学の専門を学ぶのですが、いきなり解剖実習から入り、そこから学習を進めていくカリキュラムでした。推薦の教科書も原書でしたので、原書を読む癖がつきました。5年次からポリクリ(臨床実習)が始まるのですが、6人グループのうち半数はラグビー部であとは相撲部、サッカー部と体育会系のグループとなり、活気よく実習をこなしました。

 授業外の学習では、私が神経系に興味があったことから、ノーベル生理学・医学賞も受賞したエリック・カンデルの「Principles of Neural Science」の原書を選書し、医学部の同期と下宿で読み合わせ学習をしたり、4年生の夏休みには、国立循環器病センター(当時)の病理研究室で神経変性疾患の標本について勉強させて頂きました。振り返ると、授業外の活動でつながった仲間達と活動し、学び、充実した学生生活であったように思います。
 

現在の専門に進まれることを決められた時期と、そのきっかけをお聞かせください。

 脳神経外科に進むことに決めたのは医学部の6年次になりますが、入学前から外科系を希望し、医学科で学びながら徐々に専門の診療科を脳神経外科に絞っていきました。明確な理由は覚えていないのですが、難しく単位を落としやすいと有名だった京都大学の神経解剖の試験へのチャレンジ精神から、神経についてよく学び、神経系への興味が高まったことや、父から荒木千里教授といった京都大学脳神経外科の偉大な先生の存在とそのエピソードなどを聞いており身近に感じていたこと、それから脳神経外科のピリッとした緊張感がいいと思ったことなどが理由にあげられると思います。
 

今のやりがいと目標をお聞かせください。

 九州大学に着任する前は大学勤務の経験がなかったので、学生さんと触れ合うことは新鮮な刺激です。若手の脳神経外科医の育成はこれまでも行っていましたが、大学ではより長いスパンと広い視野での人材育成が出来、やりがいを感じています。

 それから、脳神経外科の魅力を、脳神経外科以外の診療科に進まれる方にも、それ以外の方にも伝えていきたいです。脳は人をひとたらしめる臓器であり、替えがきかないとても重要なものです。まだ解明されていない部分も多く、研究の対象としても奥深く非常に発展性があります。また診療においては、手術は繊細な技術が要求され外科医としての充分なやりがいを感じられます。加えて脳神経外科は医師として多様なキャリアパスが描ける診療科であることを知って頂きたいです。外科手術だけではなく、機能再生の研究、リハビリ、脳卒中の薬物内科治療など幅広い治療、研究が行われ、自分の適性にあった能力が発揮できます。

 またこれからの目標は、将来の日本の脳神経外科を牽引できるようなリーダーになりうる人材を教室から輩出することです。血管障害、脳腫瘍、機能性障害、小児脳外科と脳神経外科医には幅広い分野がありますが、各分野それぞれに人材が輩出できることを目標にしています。

学生さんにメッセージをお願いします。

 目先のことにとらわれずに、幅広い視野を持って欲しいと思います。そのためには多くの本を読み、よく遊んでください。今の学生さんは学ぶことも多くなり、非常に厳しく余裕のない学生生活だとは思いますが、卒業後も同じく忙しいものです。忙しくてもいろんなことにチャレンジできる行動力を身に付けてください。それから、九州大学は総合大学です。医学部以外の学部の方との交流も大事にしてください。若いときに培った人脈と人間性は、後の人生を豊かにしてくれます。物の考え方、感じ方などふっとしたときに表れます。学生のときに体力と気力、特にメンタルタフネスを身に付けてください。
 

飯原教授について

飯原 弘二 教授
医学研究院 臨床医学部門 外科学講座 脳神経外科学分野
趣味はスポーツ観戦に映画鑑賞。野球やラグビーを特に好んで観戦されるそうです。休日はジムで体を動かしリフレッシュをされているとのこと。
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