在学生の声

在学生の声

周囲への感謝の気持ちを持つことが
大事だと思います。


平成25年度 医学科6年 川久保 裕美子さん

医学を志したきっかけを教えてください。

 高校一年生のときに、しばらく無医村だった村に医師が赴任してくるという内容のドキュメントを見て、地域の人が医師の赴任を喜ばれ、その笑顔がとても印象に残ったことが大きなきっかけです。
 私の父は内科、祖父は外科の開業医をしていることもあり、私にとって医療は身近なものではあったのですが、それまでの私が持つ医療に対してのイメージは「恐いもの」でした。怪我をした人が運ばれて来て、治療を受けているときも泣いているような。自分にはこんな恐いこと出来ないとずっと思っていました。ですが、そのドキュメントを見たことでそのイメージが変わり、むしろ、こんなに喜ばれる仕事ならやってみたいと思いました。医学に興味を持ったというよりも人々を笑顔にしたいと思ったのが医師を志した動機です。
 

受験勉強は大変でしたか。

 現役のときの受験では、「これでだめならもう一年がんばるしかない。」というところまで勉強しましたので、合格することが出来なかったときも気持ちが折れることなく、次の年の試験に切り替えることが出来ました。ですが、そこから先の一年は、悩むまではいかないまでも、いろいろ考えながらの一年でした。さすがにもう一年というのは厳しいと感じましたので、「次も駄目なら自分の実力にあった学部に変えた方がいいのかな。」ということも考えていました。今となっては高校を卒業したばかりの甘い考えであったと思うのですが、そうやって考えながら勉強に打ち込んだことも、自分にとってはいい経験になったと思います。そして無事に合格することが出来ました。

 こうやって、必死に勉強したと言えるくらいのところまで勉強しましたが、振り返ると、本人よりもサポートしてくれた家族の方が大変だったと思います。マイペースに勉強させてもらったと思いますし、試験前の緊張した空気も何も言わず見守ってくれていましたし。とても感謝しています。
 

入学してからの学習についてはどうでしたか。 

 勉強の仕方については個人差があると思いますので、自分に関してのことになるのですが、受験の時の勉強は、1点2点で合否が左右されてしまうため、点数に関してかなりシビアに感じていました。まさに受験勉強でした。入学してからは、勉強のスタンスが、点数のためというよりは、病棟に出た時に恥ずかしくない知識を身に付けるというものに切り替わりました。ひとつには、自分の興味のある医学という分野の勉強が出来ているというのもあると思います。同期とも話していたのですが、医学部の学習内容のボリュームは、入学の受験一回分なんじゃないかと思う試験もあります。ある意味、受験は学習するという訓練なんじゃないかと思いました。

 5年生から始まる病棟実習は、楽しくて楽しく仕方がなかったです。もちろん、スケジュールが詰まって大変な診療科もあるのですが、講義やテキストで得たことが具体化され、新たな発見といい勉強をさせて頂けたと感じています。このような学びの場は本当にありがたいと思います。
 

学科の授業外で印象に残ったことを教えてください。

 塾講師のアルバイト、救急救命のサークルです。

 塾講師のアルバイトは病棟実習が始まる前まで続けていて、クラスを持っていました。元々教師になりたかったというのもあり、また医学部は他の学部との接点が少ないので、週に何回かでも全く違う環境があることがとても良かったです。そこで接する生徒は小中高校生になりますが、今から接していく患者さんの大部分が、医学部の外の方ということを思うと、この経験はプラスになったのではないかと思います。まだまだ自分では気づいていないことも多々あるとは思いますが、教えている時に聞いている人が理解できないことに気づき、他の言葉を選ぶことや、言葉を変えてみるタイミングなど、入学当初よりは身に付いたと思います。

 救急救命のサークルは、Kyushu-University Life Support Association (KLSA)で、救急車が到着するまでに必要な処置を広めようという主旨のものです。年に4回の講習会を開催し、最近では高校生も参加して、AEDを実際に使用して使用法を習得したりしました。
 ここでは医学部外の学生との接点を持つことが出来たのですが、医学の知識のない人から受ける質問というものが貴重でした。今まで深く考えずに受け取っていた知識も、改めて質問されることで初めて疑問に感じることもあり、調べ直したりして知識が深まったりと、医学の知識を深める点でもプラスになったのではないかと思います。

  • 救急救命のサークル

病棟実習について聞かせて頂けますか。

 4年生までの教室での講義・試験を終えて、5年生からは実際の病院での実習という形での勉強が始まります。実習では患者さんや、先生方をはじめとした医療スタッフの方と接する大変貴重な体験をすることが出来ました。担当させていただいた患者さんから教えていただいたことは大変多かったと思います。病棟で実習していると言っても、まだ「医師」ではありませんから、出来る事や行って良い事には限りがあります。その中で、自分が最大限に出来る事は何だろう、という事を日々考えていました。その答えは未だはっきりとは出せていませんが、傾聴すること、学ぶこと、今後につなげること、は大切にしていきたいと思っています。

 また、ご指導いただいた先生方からも多くの事を教わりました。特に6年生の実習では、各科で1ヶ月かけて勉強させていただくので、1~2週間ずつであった5年生の時以上に先生方とお話させていただく機会に恵まれていたと思います。その中で、病態の考え方、治療の仕方だけではなく、先生方が日々の診療で心掛けていらっしゃる事、大切に思われている事などもお聞きすることも出来ました。お話していただいた、一つ一つのことを大切にして医師としてのスタートを切れれば良いな、と考えています。

これからの進路を教えてください。

 来年度からは初期研修として、新たなスタートを切る予定です。一人でも多くの患者さんに、「会えて良かった」と思っていただけるような医師になれるように成長していきたいと思っています。その後は専門を決めて、尽力していきたいと考えていますが、どの科に進むかは決めかねています。実習が始まった当初は、外科医になりたいと思っていましたし、今も外科に対するあこがれや興味は変わらずに持っています。ですが、実習を通して、内科にも興味を持つようになりました。実際に仕事を始めてから、具体的に決めていきたいと考えています。
 また、どの科に進んでも大学院で研究をする経験をしたいと思っています。臨床医として少し成長出来たと思えたときに、違った視点から病気を見ることで、医学の理解を深められればと思います。

最後に医学を志す学生さんにメッセージをください。

 自分の受験期を振り返って良かったことや反省を含めて思うのは、「諦めないこと、楽しむこと、感謝すること」が大切だと言うことです。高校3年間や受験期には、将来について沢山のことを考えると思います。受験が近づくにつれて、不安になったり、悩んだりする経験は多くの人がするのではないでしょうか。私自身も受験期に、進路について迷ったこともありましたが、夢を諦めないことは大切だと、今になって、より一層強く思うようになりました。夢を持つ事自体が努力する原動力になりますし、その間に考えた事、悩んだ事、努力した事、一つ一つが次につながっていくように感じます。そして、楽しむことや感謝することも力になると思います。「頑張ろう」と思えたり、「頑張れる」と思えたりするきっかけになります。受験期も、医学生となってからも、次のステップに進めたときには、その様なきっかけがあったと感じています。

 大学入学後は、部活動に参加したり、アルバイトをしたり、色々な活動に参加するのは良い経験となると思います。様々な活動をする中で、協調性や社会性を身につける機会に恵まれると思うからです。特に部活動は、学生ならではの活動ですから、余裕があれば参加することをお勧めします。

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