在学生の声
出会った人それぞれとの
つながりを大切にして欲しいと思います。
平成26年度 医学科6年 松下 友香さん
医学を志したきっかけを教えてください。
受験勉強は大変でしたか。
高3の4月までは、20時頃まで部活をして帰宅後に勉強という日々でしたが、1日2時間勉強出来れば良い方でした。きつかったといえばそうかもしれませんが、今となっては部活で培った負けん気が医学部合格に結びついたように思います。九大の受験より前に行われた他大学の受験には落ちてしまったのですが、その悔しさをバネにして九大に合格することができました。
また、顧問の先生、学校の先生、友人、家族にはかなり支えて頂いたと思います。精神的にも支えて頂きましたし、学校の先生には、授業にはなかった生物の教科を指導して頂き、大変お世話になりました。(私が受験した時はセンターで理科3科目必要でした)
入学してからイメージと違ったことはありますか。
医学科での学習について教えてください。
外科実習
2年次から医学の専門科目の勉強が始まりました。解剖実習では、私にとって初めての患者さんといえるご遺体を前に、医師になることの重大さを改めて感じました。そして3,4年次と各臨床科目を座学で学んでいきました。その後、5,6年次では座学を離れ、病棟で実際の患者さんと接し、病気や治療を学んでいく病棟実習が始まりました。特に6年次のクリニカルクラークシップでは、5年次よりも長い1ヶ月間、ひとつの診療科で実習させて頂くのですが、期間が長いこともあり、患者さんとより深く接することが出来ました。
臨床実習で感じたことをお聞かせください。
患者さんと接することは楽しくもあり、そして自分の未熟さを感じることでもありました。
背中をさすってあげたときに喜んで頂けたことや、「いいお医者さんになってね。」と励まして頂いたことで、人の役にたつ喜びや、患者さんから頂く力を強く感じました。それとは逆に、難しい病気の患者さんが、「これからどうやって生きたらいいかわからない。」と話されたときには、私は返す言葉を見つけることができず、自分の未熟さを感じました。今思うのは、知識面、人間性ともに深みのある医師になりたいということです。同じ内容を伝えるのでも、選ぶ言葉によって、受け取る印象は全く違うものになります。診療の忙しさもありますが、人間としての思いやりを忘れずにいたいと思います。
学科の授業外で印象に残ったことを教えてください。
PBLの勉強会、社会人のバスケットサークル、アルバイトのことなどが印象に残っています。
PBLとは、Problem Based Learningといって、問題解決型学習のことをいいます。実際の症例に基づき患者さんの症状に沿って、問診、診察を進めていき、病態を推測していく、「臨床推論」にあたるものです。医学科目では、病名からその原因、症状や治療法を学ぶことが多いのですが、PBLでは症状から病名にアプローチしていくので、実際の臨床の現場で行われている流れを体験できます。九大医学部の課外活動としては、数年前先輩が始められ、3~6年次の学生が中心に参加し、先輩から後輩に引き継いで行われています。私も4年次の時に先輩から誘われ参加し、とても面白いと感じ、定期的に参加するようになりました。週に1回医学図書館のセミナー室に集まり、みんなで症例を持ち寄っています。参加した当時は先輩にいろいろ教えて頂き、最高学年となった今では、後輩に質問を受けるようになりました。「あれっ、これどうだったかな。」と思う質問もあり、改めて調べて教えたりして、私の勉強にもなっています。
九大のPBLとは別に、不定期に開催されている産業医科大学や熊本大学といった他大学で行われている勉強会にも参加させて頂きました。九大は学生で症例を持ち寄って進めることが多いのですが、他大学では先生に来て頂き、より深く学習させて頂くことができました。そして他大学の学生と接することは刺激的でもありました。こうしてPBLの勉強会を通じて他大学の医学生とのつながりを持てたことも良かったと思います。
アルバイトでは家庭教師、飲食店のキッチンやブライダルの配膳を経験しました。生活費をまかなうためのアルバイトでしたが、料理がうまくなりたいことや冠婚葬祭などの一般常識を知っておきたいこと、色んな職業を学生のうちに経験してみたいというような動機もありました。飲食店では、部活で学んだ礼儀も役立ち、挨拶の大切さや、また後輩の指導などで学ばせていただくことも多くありました。医学部外での人との関わりを持てたことも良かったです。家庭教師は教師になりたかったこともあってさせて頂いています。大学1年次から始めて現在も続けているのですが、小学校4年生から中学校3年生になった生徒を見て、考え方も変わっていくんだな、成長したなと少し親心を感じています。一緒に定期テストの結果を喜びあったことなどは良い思い出です。
社会人バスケ
九大主催で行った大学間合同PBLについてお聞かせください。
H26.6開催 大学間合同PBL
講師の先生のセッションは、各1.5時間くらいで、実際に先生が臨床の現場で担当された患者さんを題材に、各グループにわかれ討論や考察を行うワークショップ形式で行われました。通常の講義と異なり、講師、受講者間の相互的な講義となり、集中して積極的に取り組むことができました。現役で診療に携われる先生が話される症例はリアルでイメージがしやすく非常に勉強になりました。次世代を育てようと思ってくださる先生が多くいてくださることはありがたく、私もこれから少しでも後輩に返していけたらと思います。
開催についての広報は、九大医学部の中では学生のメーリングリストで周知し、他大学へは、PBL勉強会でのつながりを通じて行いました。九州、山口、遠くは愛知、大阪の学生が参加してくれました。このような他大学の学生との交流は刺激になるので、これから医師になっても続けていきたいと思いますし、後輩にも続けてつなげていって欲しいと思います。
数々参加してきた勉強会は、病棟の実習で患者さんとの接する上で役立ったと思います。患者さんの心理的、社会的背景も含めた診療の大切さを知ることができました。患者さんとの接し方は難しいですが、うまく伝える技術、患者さんのご要望を汲み取る力などを今後もっと身につけていきたいと思います。
これからの進路を教えてください。
卒業後、臨床研修医として2年間の卒後研修を受け、将来的な専門としては小児科を考えています。
もともと小児科を志望していたわけではありませんが、各診療科を実習する中で、小児科に興味を持つようになりました。これからの卒後臨床研修でも、内科、外科、小児科をはじめいろんな科で研修させて頂きます。その中で志望科は変わるかもしれません。
そして、大学院へ進学や海外への留学も出来たらいいなと思います。
バンクーバー留学
一方では、結婚、出産といったライフイベントも大切にしていきたいです。キャリア重視であるとそういったことが難しくなることもあるかと思います。九州大学病院では、「きらめきプロジェクト」という医師が育児、介護、自身の病気などの事情を抱えながら活躍することをサポートするプロジェクトがあり、学生交流会などのイベントも開催しています。私も参加させて頂き、実際に医療の場で活躍されている育児中の女性医師の方とお話させて頂くことがありました。外科医の先生なのですが、毎日お子さんのお弁当は前の日にご準備され、朝から外科の手術を担当され、すごくパワフルでエネルギッシュに活躍されており、「私は自分のやりたいことをやっているんだから苦に感じたことはない。」と話されていました。医師としてだけではなく精神面でも非常に暖かく尊敬しています。先輩のお話を聞かせて頂くのはすごく参考になるし、憧れる人にも多く出会えました。私も先輩方のようにいろんなことにチャレンジして行きたいと思います。
最後に医学を志す学生さんにメッセージをください。
出会った人それぞれとのつながりを大切にして欲しいと思います。私も医学部を目指してがむしゃらに勉強して、勉強のことしか考えず、悩んだ時期もありました。振り返ってみると、友人、家族に大きく支えてもらっていたことを強く思います。
医学科の同期と