学生生活

2021年03月10日

その他

医学部サークル 数理医学研究会の研究活動が米国科学雑誌「Bulletin of Mathematical Biology」に掲載

  医学部サークル数理医学研究会の研究活動が米国科学雑誌「Bulletin of Mathematical Biology」に掲載されました。
  この研究活動は、医学科6年生 河村真理さんが系統解剖学分野 三浦 岳教授の指導のもとで行われていた研究で、2021年2月に米国科学雑誌「Bulletin of Mathematical Biology」のオンライン掲載されました。

  〇 論文名:Mathematical Modeling of Dynamic Cellular Association Patterns in Seminiferous Tubules
  〇 著者名:Mari Kawamura, Kei Sugihara, Hisako Takigawa-Imamura, Toshiyuki Ogawa & Takashi Miura
  〇 雑誌名:Bulletin of Mathematical Biology,
  〇 DOI:10.1007/s11538-021-00863-x
   

河村さんより学生さんへメッセージ

  先日、三浦先生と杉原先生のご指導のもと、数理医学研究会で取り組ませていただいていた研究の成果が、「Bulletin of Mathematical Biology」という雑誌に掲載されました。
  
  私は1年生の終わりごろから三浦先生の研究室に通わせていただいて、卒業までの約5年間もお世話になりました。正直なところ、ここまで長く続けられるとも、英語論文を学部生のうちに出せるとも思っていませんでした。

  以前から基礎研究に興味を持っていたので、時間が有り余っていた1年生の春休みに、どこか見学に行ってみようと研究室を訪ねたことが通い始めたきっかけでした。三浦先生の研究室に決めたのは、新入生歓迎会のときの研究紹介が面白そうだったなと思い出してホームページを拝見すると、ちょうど見学の受け入れをしているとの記載があり訪ねやすそうだと思ったからです。ちなみに新入生歓迎会のときには、生物の形がどのようにできるのかをプログラミングで再現している動画などを見せていただきました(三浦先生の研究については詳しくはホームページをご覧ください:https://www.lab.med.kyushu-u.ac.jp/anat1/)。もともとは他の研究室も訪問するつもりでしたが、温かい先生方や、教育熱心な研究室の雰囲気に惹かれ、また、難しそうな研究も輝いて見えたので、結局他の研究室を訪ねることはせず、その場で通わさせていただくことに決めました。このような経緯だったので、研究に必要なプログラミングの知識も、研究で使う方程式も全てわからない状態からのスタートでした。どの研究テーマがいいかもわからず、テーマも先生に選んでいただきました。
  

北海道の学会でのポスター発表の様子
  活動内容は、研究がドライ(簡単に言うと、実験室でのピペットや試験管を使うような実験ではなく主にパソコンを使った研究)だったので、基本的に三浦先生と杉原先生と3人で議論やプログラミングをするというものでした。最初のうちは、何の知識もない私のために先生お二人が講義をしてくださっている状態でした(何と贅沢な)。だんだん簡単なプログラミングや解析はできるようになりましたが、常についていくのに必死で、先生方の足を引っ張ってしまうのが申し訳無く、研究室をやめたほうがいいかなと何度も思いました。それでも、先生には「おかげで滞っていた研究が捗っていますよ」だとか「専門家ではない人がいるからこそ見えることもありますよ」だとか、温かいお言葉をかけていただきました。論文も、私が文章を書いていくその場で訂正していただいたり、アドバイスをいただいたりしてどうにか書けた状態で、一人では到底完成させることはできませんでした。論文が完成するところまで続けられたのは、直接指導してくださった三浦先生と杉原先生、そして論文の共同著者の今村先生や明治大学の小川先生の、とても強力なサポートがあったおかげです。ここまで手厚いサポートが受けられて指導していただけるのは、学部生の特権だと思います。また、今まで三浦先生には、研究と直接関係がなくても今後役に立つだろうからと、H E染色やマウスの解剖の見学など、いろいろと学ばせていただきました。学会に参加させていただいたこともあり、たくさんの経験をすることができました。
  
  将来、研究の道に進もうと決めている人は、おそらくかなり少ないと思います。しかし、大学院などで研究に関わる機会がある人はそれなりにいるのではないでしょうか?
研究を始めたばかりのころは、わからないことだらけなので、ほぼ必ず壁にぶつかると思います。学部生であれば、どんなにうまくいかなくても、ちゃんと先生に助けてもらえます(学部生の受け入れをしている研究室の先生は、本当にびっくりするほど親切で教育熱心です)。
  
  私は5年間、研究室に通わせていただいて、研究が学校の勉強の妨げになっていると感じることは一度もありませんでしたし、プライベートの時間も十分に確保できて、先日結婚もしました。何も犠牲にすることなく、多くの経験を積むことができ、丁寧にご指導いただきながら書いた論文は自分の成果として残るものになりました。研究室に通って、本当に良いことしかありませんでした。  

 数理医学研究会の懇親会の様子(2018年撮影)
  ちなみに現在、三浦先生の研究室に通っている学生は十数名います。各々が、指導してくださる先生と研究を続け、同時に数理医学研究会という部活(http://qmath-med.squares.net)として研究成果を発表しあったり、機械学習などの勉強会をしたりしていました。自分からどんどん研究を進める優秀な学生もいれば、私のようについていくのに必死という学生も所属しています。それぞれのペースに合わせて進めることができます。また、同世代の他の優秀なメンバーと関わることで刺激が得られます。
  ほかにも学部生を受け入れている研究室はいくつかあるようです。この記事を読んでくれている学部生のみなさん、ぜひ、早いうちから興味のある研究室を覗きに行ってみて下さい。おもしろそうだと感じたら通ってみて下さい。絶対に損はしないと思います。
  
  最後にこの場をお借りして、三浦先生、杉原先生、今村先生、小川先生に心より感謝申し上げます。多大なお時間と労力を使ってご指導いただき、本当にありがとうございました。
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