学生生活

2023年09月15日

国際・留学

ドイツ グーテンベルク大学病院 麻酔科での臨床実習

本学科では、6年次の臨床実習時に海外での短期留学プラグラム(クリニカルクラークシップ)を行っており、九州大学病院 麻酔科が担当となり、ドイツのマインツにあるグーテンベルク大学(Johannes Gutenberg-Universitaet Mainz)の麻酔科での短期留学を実施しています。

  この短期留学プログラムは、グーテンベルク大学麻酔科のヴェルナー教授、ならびに福井Dunkle公子先生のご好意により実施されているもので、教育プログラムも充実しており、外科系各科の麻酔を臨床に則した形で4週間しっかりと学ぶことができます。


ヨハネス・グーテンベルク大学での実習を終えて
村口 大知

2023/7/24〜8/4にかけて、ドイツ連邦共和国マインツ市にあるヨハネス・グーテンベルク大学病院の麻酔科で行われた2週間の臨床実習についてご報告致します。本年度の海外実習がコロナ禍以降最初の海外実習であったため様々な不安もありましたが、結果的に、とても充実した実習生活を送ることができました。また、私は2019年の大学1年次の春休みにドイツで1ヶ月のホームステイを経験しており、その際に地元の診療所で簡単な実習もさせていただいた事から久しぶりのドイツを非常に楽しみにしていました。

【マインツでの生活】

一緒に実習を行う4人で民泊サイト「Airbnb」を用いて2週間の宿泊先を予約しました。病院キャンパスまでバスで20分の場所に一軒家を借り、4人でシェアハウスとして使用していました。食事については昼食は大学の学食を利用していましたが、朝食・夕食に関してはコスト面から自炊を中心に行っていました。自炊に当たって必要となるスーパーはマインツ市内に非常に多く存在し、品揃えも日本のスーパー以上に良いのですが、日曜日はドイツではスーパー含めほとんどのお店が店休日となるため、その点注意が必要です。洗濯は借りた一軒家に洗濯機と乾燥機があったため基本的にはいつでも洗濯が可能でした。インターネット環境については、本海外実習で指導してくださった九州大学麻酔科蘇生科の福井公子先生のお話では、ドイツは日本に比べてインターネットの環境整備が遅れているとの事です。実際に、借りた一軒家にはWi-Fiがありましたが、街中は大学を含め、Wi-Fiがあまり見当たらなかった印象があります。そのため海外simの準備などは必須かと思います。マインツ市は非常に治安が良い街で、日本と同様に一人で歩いていても心配のいらない街ではあるのですが、やはり駅前など人が集まる場所では夜になると酔っ払いや若者がたむろしており、そういった所には近寄らない方がいいのは日本と同様です。また、私たちは夏にドイツを訪れたため、日没が22時頃であり遅い時間まで明るかった事も治安の良さにプラスしていると思います。2023年夏時点でのCOVID-19に対するドイツの人々の姿勢ですが、マスクをつけて外出している人は1日に1人見るかどうかでした。アルコールなど消毒液はまだ日本と同じくらいの頻度で見かけますが、レストランやバスの中、大学病院内の患者さん・医師でさえもマスクをしている人はほぼいませんでした。私達も、全ての場面でノーマスクで2週間を過ごしていましたが、誰一人COVID-19に感染する事なく無事帰国できたため、ドイツでもコロナ前の生活が戻ってきていると言っていいと思います。

【実習について】

2週間の実習のうち、1週目は脳外科の麻酔で、2週目は胸部外科の麻酔で実習させていただきました。ヨハネス・グーテンベルク大学病院は診療科によって建物が分かれているため、日本のように麻酔科医が日によって様々な診療科の手術の麻酔を担当するのではなく、脳外科の手術なら脳外科担当の麻酔科医が脳外科のみの麻酔を担当する仕組みになっていました。福井先生が脳外科担当の麻酔科医でいらっしゃるため、1週目は福井先生に静脈ルートの取り方、薬剤の調製の仕方、A-ラインからの採血の仕方、気管挿管の復習を指導していただき、実際に脳外科の麻酔の中でそういった手技をやらせていただいていました。ヨハネス・グーテンベルク大学病院でも麻酔に使用する器具や機械は日本とほぼ変わらず、使用する薬剤もほとんどが日本で聞き馴染みのある薬剤ばかりでしたので、九大麻酔科で学んだ臨床実習がこの手技の中で非常に生きている事を実感しました。
  2週目は4人がそれぞれの希望診療科に分かれて、それぞれの手術の麻酔で実習を行いました。私は呼吸器に興味があったため胸部外科を選択し、胸部外科麻酔では前の週で学んだことを活かして実習を行いました。胸部外科では片肺換気で行う手術も多く、その際には通常の気管挿管チューブではなくダブルルーメンチューブという特殊なチューブを用います。このチューブを気管挿管させてもらう機会を2回ほどいただき、更にチューブが固定されているか確認のための気管支鏡検査も全て行わせていただけたのは、日本で経験する事ができないとても貴重な機会でした。ヨハネス・グーテンベルク大学病院麻酔科教授のウェルナー教授の言葉として、「壁の花になるな」とご指導いただきました。ただ立って見ているだけではお飾りの花と同じであり、先生が困るくらい学生から積極的に教えを乞い、実習を学生自らが積極的に行うのが良い、とのお気持ちからです。私もこの教えを胸に、手技の指導を積極的にお願いし、挿管のみならず様々な手技を毎日何度もやらせていただく事ができました。この事は、実習内容的にも、成功体験的にも非常に今後の自信に繋がりました。

【現地の方との交流】

今回私達がヨハネス・グーテンベルク大学病院を訪問した時は、現地学生が夏休みに入った期間だったため、現地学生との交流はほぼありませんでした。しかしながら、麻酔科医の先生方とは手術と手術の間の休憩時間に様々な事をお話しさせていただき、多くのコミュニケーションを取ることができました。大学病院に自分の大学以外の学生が実習に来ることはよくある事らしくどの先生方も非常に優しく、とても気さくに様々な事をお話ししてくださいました。また、実習最終日のフェアウェルパーティの際には、来年度に九大に留学予定のヨハネス・グーテンベルク大学学生のHannahも来てくれたため、そこでドイツの学生生活についてや、英語に関する勉強の習熟度など聞く事ができました。更に幸運な事に、福井先生のご紹介で、現在ギーセン大学に研究留学をされている浜松医科大学麻酔科蘇生科の佐藤先生にギーセン大学での基礎研究の様子を見学させていただく事ができました。それだけではなくドイツでの医療事情や、海外で基礎研究を行う際の手順、ドイツ人の慣習まで詳細に教えていただき、海外留学の先輩としてだけではなく、ドイツで生活する日本人の先輩として様々な事を学ばせていただきました。加えて、私は2019年にお世話になったホストファミリーや実習先の開業医の先生の元を訪れ、そこでも近況を報告しあったり、ドイツの医療に関する話を聞いたりと有意義な時間を過ごす事ができました。卒業旅行の際にはまた是非来なさいと声をかけてもらいドイツの人々の優しさに触れることができました。

【言語について】

ヨハネス・グーテンベルク大学の先生方は当たり前のように医学英語もペラペラですが、研修医の先生方や学生は医学英語に関しては私達と同程度です。そのため英語力はコミュニケーションが取れる最低限の英語力と、医学英語をある程度勉強して行けばあまり問題ない様に感じました。しかし、私達に説明してくださる時以外は全員がドイツ語で会話をします。過去の先輩方のヨハネス・グーテンベルク大学での実習報告に、会話を理解するためにドイツ語が少しでもできればより良かったとの感想を参考にさせていただき、ドイツ語の日常会話レベルを目指し勉強しました。医学ドイツ語に関しても少し予習をして本実習に臨みました。しかし、最初はほぼ聞き取れないのが現状でした。それでも聞いているうちに耳が慣れ、話す内容がなんとなく聞き取れるようになり半分ほどですが少しずつ理解できる様になりました。実習2週目は先生も私もほぼドイツ語のみでの実習に挑戦しました。やはりドイツ語のみの会話になると全てを理解するのは難しかったのですが、時々英語混じりでもほぼドイツ語を用いてコミニュケーションを取れた事はとても良い経験だったと感じます。会話については、語彙の少ないドイツ語会話でも理解しようとしてくれるのでまだ良いのですが、リスニングの方が難しく感じ、日々の努力や積み重ねが大切だと痛感しました。

【最後に】

海外での実習は全ての事・物が新鮮で、何をするにもとても楽しく、あっという間に2週間が過ぎ去ってしまいました。この経験は、今後私がドイツ問わず海外留学をする際に、非常に生きてくるのだろうと実感しております。この実習の機会を与えてくださった九大麻酔科蘇生科の先生方、現地でお世話してくださった福井先生、佐藤先生、実習をしてくださったドイツの医師の先生方、その他全ての関係者の方々にこの場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。

麻酔科 ヨハネス・グーテンベルク大学マインツの実習を終えて
冨田 大伸

2023/7/24〜8/4にかけて、ドイツ連邦共和国マインツ市にあるヨハネス・グーテンベルク大学病院の麻酔科で行われた2週間の臨床実習についてご報告致します。本年度の海外実習がコロナ禍以降最初の海外実習であったため様々な不安もありましたが、結果的に、とても充実した実習生活を送ることができました。また、私は2019年の大学1年次の春休みにドイツで1ヶ月のホームステイを経験しており、その際に地元の診療所で簡単な実習もさせていただいた事から久しぶりのドイツを非常に楽しみにしていました。

1. 生活

私たちは4人で1棟の家を丸ごとかりて2週間宿泊しました。病院からはバスで15分ほどの場所でしたが、バスの本数の多さや宿舎がバス停に近かったこと、スーパーも徒歩10分圏内にあったこともあって生活に特に不便さは感じませんでした。

ドイツでの生活は初めの1週間は慣れない中でかなりストレスでしたが、程なくしてなんとなくの生活のスタイルが出来上がってくるので2週目からは特にストレスを感じることはありませんでした。ほとんどの場所でクレジットカード決済ができ現金を出す機会はなく残金を考えて買い物をするといったことはなかったです。カフェやベーカリーで読み方が分からなくても、「何て読むの」と聞けば店員の方が快く教えてくれますし、最低限「Hallo(ハロー)」と「Danke schön(ダンケシェーン)」と言えば買い物は終わります。会計を済ませたあと「Tschüss(チュース)」や「Ciao(チャオ)」と挨拶されるのですが、日本語では「バイバイ」にあたり、バイバイより気軽に使える挨拶で日本語に欲しい挨拶だなと感じました。

節々で文化の違いを感じたのですが、少し国民性が似ているのかルールに対しては厳格できちんと守る人が多かったように感じます。日曜日は休養日という考え方だそうで、日曜日になるとほとんどのお店が閉まるので日本での24時間365日営業しているコンビニがあるという生活がとても特殊であること、日本人のホスピタリティの高さを改めて感じました。

私は文化的な差や国民性の違いなど、日本とドイツがどう違うかということを考えながら生活しました。ここには書き記すことはできないくらいの大きな発見があり、日本という国の文化、そして日本人としての自分をより深く理解できたと思います。単に旅行するということではなく、生活することで見えてくる物があり、実習で医学を学ぶということと同等に生活して文化を学ぶということが私には非常に大きい出来事でした。

2. 実習

私は脳神経外科、腹部外科の麻酔科と集中治療部を回りました。ドイツでは日本とは異なり、各外科に専属の麻酔科のグループがあります。どの先生方も優しく、また麻酔準備中もチームの一員として迎え入れてくれ、的確な指示のもと、薬剤の準備であったり体位変換など様々なことを手伝わせて頂きました。一つ一つの準備や、薬剤の用途も丁寧に解説して頂いたり、些細な質問にも答えて頂いたり、実技としても知識としても大変勉強になりました。脊髄の除圧固定術であったり、開頭腫瘍摘出術であったり、食道全摘出術であったりと、様々な手術の麻酔管理を見学しながら、手術中の問題点や全身管理のことを教えて頂きました。

3. 英語

私はドイツ語が全くできなかったので、基本的にコミュニケーションのほとんどを英語で取ることになりました。リスニング能力、スピーキング能力ともに自身の不甲斐なさを思い知るばかりで、語学学習へのモチベーションも上がりました。

相手に自分の考えを伝えようとする意思であったり、ジェスチャーや視線の動きといったノンバーバルなコミュニケーションの部分に意識が向いたことは大きな発見でした。英語が拙い分、なんとか伝えようとしたり、またなんとか聞こうとしたり、見よう見まねで真似しながらコミュニケーションをとることは初めての経験で非常に新鮮でした。私は病院の職員の方や患者さんなど、現地の様々な人とコミュニケーションを取りたいという強い気持ちがあり、たくさんの人に話かけて会話でき世界が広がったように感じます。現地の人の言葉を聞いて、また自分の言葉で喋ることで、そのような意思疎通を図ることへの積極性にさらに磨きがかかったように思います。ドイツの方々は皆親切でかつ陽気な方も多く、交流していて非常に楽しかったです。

何よりも、拙い英語をなんとか聞いて私の意思を汲み取ろうとして頂いたドイツの先生方や現地の方々の姿勢、対応に非常に感動しました。質問をしたり、議論をしたりする中でそのような優しさを節々で感じ、心が暖かくなったのを覚えています。言葉を覚えるということはもちろんなのですが、そのような意思を汲み取ろうとする姿勢は誰かとコミュニケーションをとる上で根源的な部分であると気づき、そのことを身をもって体感できたことは大変な財産であると振り返ります。

コミュニケーションに対して、このように向き合うことは日本では経験がなく、ドイツで生活してみるからこその体験であり、より新しい視点を獲得できて人間として大きく成長できたと感じております。

4. 最後に

私がこの実習に参加しようと思ったきっかけは5年生のポリクリで手を伸ばすことの重要性に気づいたことでした。よく、「チャンスの女神には前髪しかない」と言いますが、チャンスとは降ってくるものではなく、自分で掴みにいくものだと、5年生時にそのように痛感したことが大きかったです。このマインツの実習のお話を伺って、「これだ」と特に理由もなく確信したのを覚えています。7月という時期の特性上、マッチングや部活などが佳境を迎える中での実習でしたが、その「前髪」をひいてよかったとそう強く思います。

マインツに滞在したのは2週間という短い間でしたが、医学を学ぶにとどまらず、人間的にも様々な方面で成長や考え方の変化を感じることのできる実習でした。勉強へのモチベーションやコミュニケーションへの意識の変化はこのマインツにくることで得られた物だとそう感じております。一緒に実習に行った3人に非常に迷惑も掛け頭が上がりません。しかし、互いに助け合いながら生活できて人に頼ること、人に頼られることで生きていることを実感しました。

マインツでの実習をコーディネートして頂いた福井先生をはじめ、快く送り出して頂いた九州大学の麻酔科の先生方、ドイツで対応して頂いた先生、スタッフの方々、ともにマインツに向かった3人の同級生へこの場をかりて心よりお礼申し上げます。

ヨハネス・グーテンベルク大学での実習を終えて
下地 真梨子

今回私は、医学科6年のクリニカルクラークシップの一環として、Johannes Gutenberg Universitätsmedizin Mainzで実習に参加しました。3年ぶりのドイツ派遣ということで、再開されたことの喜びと、留学をコーディネートしてくれた福井先生、麻酔科の先生に感謝申し上げます。それでは、私たちのドイツでの麻酔科実習や生活について紹介させていただきます。

私たちが実習を行ったヨハネス・グーテンベルク大学の大学病院は診療科ごとに建物が分かれており、晴れた日には噴水のある広場でのんびり休憩できるような、広々として気持ちの良い病院でした。 私は1週目に脳神経外科、2週目に産婦人科・小児外科の手術室にて実習を行いました。 1週目は、福井先生の指導の下、モニターの付け方や静脈ルート確保を練習しました。また、手術では麻酔科医の手伝いをしながら手技を行い、モニターの見方や、麻酔経過表の書き方を学びました。 2週目の産婦人科・小児外科では、麻酔科チーフDr. Ottが毎朝、担当の麻酔科医を紹介してくれて、1日同じオペ室で実習を行いました。産婦人科は、手術件数がとても多く、1日にひとつの手術室で5件ほど麻酔導入が行われるため、希望すれば手技を沢山経験することができました。担当してくれた研修医はどの先生もとても親切で、ドイツ語が話せない私に英語で丁寧に指導してくださいました。手術室には、医学生の他に、救急や助産の実習生がおり、彼らがとてもフレンドリーに話かけてくれたので、先生が忙しそうな時は、彼らから病院の勝手を教えてもらい、休憩の時には他愛のない話をして、楽しい時間を過ごしました。 日本との違いとして、ドイツでは麻酔室で麻酔導入後に患者さんを手術室へと搬入します。気管挿管など行なった後に、手術台を動かし、チューブを繋ぎかえる様子はとても印象的でした。また、ドイツでは院内もマスクフリーになったとのことで、マスクを付けている人が1人もいなかったことが個人的には衝撃で、日本もいつかこんな日が戻ってくるのだろうかと考えさせられました。

次に、マインツでの生活での印象深いエピソードを紹介します。私たち4人が2週間過ごしたのは、中心部からバスで15分のWeisenauという静かな住宅街の一軒家です。 家に到着した私達が最初に直面したのは、門が開かない問題でした。門の建て付けが悪く、どう鍵を回しても開かず、毎回30分ほど門と格闘していました。有効な開け方を突き止めるのに2.3日かかったこと、家に入れず締め出されていた時に隣家の犬のナポレオンと仲良くなったことは、忘れられない思い出です。 次に起こったのはクスクス事件でした。麻酔科控え室で、麻酔看護師が作ってくれた味が忘れられず、自分達で作ってみようとスーパーでクスクスの小さな箱を買いました。熱湯でクスクスを戻すと、たった1つの箱から鍋2個分、クスクスが大量発生しました。レシピも見ずに覚えている味を頼りに調理し、みんなでああでもないこうでもないと言いながら大量のクスクスと戦い、消費するのがとても大変でした。この日以降、二度とクスクスは買わないと誓いました。

ドイツといえばソーセージということで、普段の自炊ではソーセージを焼いて食べることが多かったのですが、一度福井先生のご自宅に招いていただいた際に、メットという料理を食べたことが印象に残っています。メットとは、生の豚挽肉に味付けをした料理で、ドイツでは全頭寄生虫検査をしているので新鮮ならば生食でも問題無いのだそうです。豚の生食には抵抗があったのですが、これをパンにつけて食べるととても美味しく、ドイツでしか味わえないメットは、ドイツを訪れる機会があればぜひ試してみて欲しいです。

休日や実習後に訪れた場所の中から、私が特に気に入った場所をいくつか紹介します。

まず、マインツでとても良かったのがザンクト・シュテファン教会です。青を基調としたステンドグラスがとても美しく幻想的な雰囲気でした。 土曜の朝にマインツ大聖堂前のマルクト広場を訪れると、朝市が開かれています。フルーツやパン、肉、魚など様々なスタンドが並ぶのですが、中でも一番賑わっていたのがワインのスタンドでした。マインツは白ワインが美味しいらしく、朝からみんな白ワインかロゼを片手に広場で食事をしており、とても楽しいマインツの朝を垣間見ることが出来ました。

マインツから電車で1時間、天気の良い日に訪れたいのがリューデスハイムです。ワインの産地で、ワイン酒場やカフェが並ぶ、とても可愛らしい町でした。ゴンドラに乗ると、一面にぶどう畑が広がり、その奥にライン川を眺めるその景色は、絶景でした。

マインツからは少し遠いのですが、ビール好きなら行きたいのがミュンヘンです。ミュンヘンの美しい街を楽しみつつ、私たちは到着して早々にホフブロイハウスというビアホールに向かいました。ここでは、美味しいビールとともに、白ソーセージやブレーツェル、シュバイネハクセなどを堪能しました。混んでいる時間帯は相席が普通らしく、私たちも相席した人たちと乾杯し、会話を楽しみました。また、バンド演奏の時間には、乾杯の歌がホールに響き渡り、みんなで歌いながらビールを飲むとても陽気な空間でした。

ドイツ語が出来なくても、挑戦してみようという気持ちで飛び込み、やる気と笑顔だけは忘れずに毎日必死に頑張った経験は、自分を成長させることが出来たと感じています。ドイツで学んだこと、経験したことを糧に、医師としても人としてもさらに精進して参ります。

最後に、この機会を作ってくれた福井先生をはじめとするドイツ・九大双方の麻酔科の先生、そして快く送り出してくれた両親に、感謝の意を表し、筆を擱くことにします。

グーテンベルク大学病院麻酔科での実習を経て
医学科6年 栗木遼太郎

この度ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学病院麻酔科にて2週間(7/24〜8/4)の海外実習に参加させていただきました。コロナ禍で止まっていた海外でのクリニカルクラークシップが今年からようやく再開となり、非常に貴重な経験をすることができました。

実習

最初の1週目は主に福井先生が麻酔科医として所属する脳神経外科での実習でした。研修が始まり、まず圧倒されたのは、手術の件数と圧倒的な回転率です。脳外科では3部屋それぞれで1日平均2件の手術を行なっています。この回転率を実現させているのが、手術室の前にある麻酔部屋で、前の症例が終わりそうな頃にこの前室で麻酔をかけ、ほぼ入れ違いのような形で次の症例が始まります。おかげでかなりの症例の麻酔の導入•維持を見ることができ、マスク換気、薬剤準備なども多く手伝わせてもらいました。Vラインを取る機会が数回ありましたが最終的に助けを借り、自力では取れなかったのが悔しい思い出です。2週目は心臓血管外科に配属され、こちらでも多くの症例の麻酔に携わることができました。心臓外科で最も勉強になったのは経食心エコーです。どの先生も非常に詳しく教えてくださり、問題を出しながら画像を解説してくれたり、「さあ、どこが問題でしょう」と急に画像の解釈を一から求められたりと、難渋しながらも楽しく学ぶことができました。血ガスの評価を求められることもよくありましたが、医学的な知識と持ち合わせの医学英語の知識を同時に動員しなければいけないのでいつも以上に頭を使う日々でした。心外の麻酔科医は術中中々忙しそうでしたが、時間がある時はドイツと日本の医療システムについて話したり、近くのおススメの料理店や名物を教えてもらったりと長時間の手術でも有意義な時間となりました。流れがわかって、手を出せるようになり始めた、という頃に2週間の実習終了となりもどかしさと多少の悔しさは残ります。

休日など

休日は同じく九大から留学している班員とミュンヘン、ケルンなどドイツ国内の他の都市や隣国へも足を伸ばしてみました。歴史を感じ、見る人を圧倒させるような建築物だけでなく、日本では食べたことのないソーセージ、いろいろな種類があるし各都市でやや味の違うビール、面白いパンなど美味しい食べ物が多かったです。日本に帰ってきて、もっと色んなドイツ料理を食べたかったなぁとドイツ料理がやや恋しいです。異なる文化に深く、長期間触れる機会は今までなかったので文化の違い、国民性の違いを肌で感じることができ非常に面白かったです。それと、もし留学したら街にどんどん出てウィンドウショッピングしたり道聞いたりと会話の機会をどんどん探しましょう。いろんなお店を回って会話をしてみましたが、ドイツは基本治安がよく、人もいいので安心して会話でき、語学の練習にもなりました。

英語

英語力には多少自信がありましたが、やはりリスニング教材とは別物でした。訛りがあったり、めちゃくちゃ速かったり一度では何言ってるか全くわからないこともありましたが、自分の英語が通じると非常にうれしかったです。6年次に海外でのクリクラに参加したいと思っており余裕のある人は、ぜひ医学英語を勉強しておきましょう。今回少し後悔しているのは、医学英語です。「あー、聞いたことあるんだけどなんだったっけ、、」と思い出そうとしているうちに次の医療単語が出てきます。曖昧に多分こういう事だろう、と想像で補正するシーンが多くありました。質問する時も、知っていれば1語で完結するのに回りくどい質問になることも少なからずありました。これからの課題を知れましたし、英語の重要性を再認識することができました。

最後に

興味あるけどどうしよう、と思っている人は是非じっくり検討してみてください。自分は行こうかどうしようかとかなり悩みましたが行って本当によかったです。行っていなければ後悔が残っていたと思いますし、これからの自分自身の有り様にも大きく影響を与えてくれた貴重な機会を逃すところでした。また、日本人でありながらドイツで医師として働かれている福井先生の姿を見て医師になった後いつか海外に出てみたい、と強く思うようにもなりました。最後になりますが、今回この海外留学を調整いただいた九大麻酔科の先生方、福井先生、グーテンベルク大学病院の先生方、その他協力頂いた方々にこの場を借りてお礼申し上げます。

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