学生生活

2023年09月13日

国際・留学

釜山(プサン)大学校国際交流(クリニカルクラークシップ)

   九州大学医学部医学科では、韓国の仁済(インジェ)大学校、慶尚(キョンサン)大学校、釜山(プサン)大学校の3大学と学生交換交流を実施しています。各大学から、九州大学病院での臨床実習の受入れを行い、また、本学科から各大学へ短期留学(クリニカルクラークシップ)を行っています。
  留学に参加した学生は、母国とは違う医療の現場を肌で感じ、質問もコミュニケーションも英語を使用しなくてはなりません。通常の大学生活では得られないこのような経験は、それぞれにとって貴重なものとなっています。

  本年度、    釜山(プサン)大学へ留学した2名の感想文を掲載します。
 

釜山大学での実習を終えて

兼田 蒼司

韓国の梁山に位置する釜山大学梁山キャンパスで1か月実習をしました。釜山大学のキャンパスですが釜山市街地からは1時間ほど離れているので注意してください。

実習内容

私はクリクラ3期に釜山大学で1か月実習しました。前半2週間は脳神経センターで主に脳神経外科の手術を、後半2週間は家庭医学科で外来、緩和ケア病棟などを見学しました。 脳外科は基本的に7:30からカンファレンスが始まり、その後手術見学となります。1日に平均して2件ほど手術が行われ、14時頃解散という日が多かったです。教授は複数いらっしゃいますが皆さん英語に堪能であり、術式、解剖など細かく説明していただけました。また同時期に後述の学生が実習に来ており、一緒に食事に出かけて仲良くなることができました。 家庭医学科では9時に集合し1~2時間弱ほど教授の外来を見学します。見学する教授は毎日異なります。日本語に堪能な先生がおられ、休日や放課後にはサムギョプサルなど韓国料理が楽しめるレストランをご馳走になりました。週の半分ほどは昼から自由時間となっており、近くで買い物をしたり、釜山大学のメインキャンパスに行って周辺で遊んだりしました。(写真1 先生とお食事) 週末は主に西面、海雲台、チャガルチ市場など釜山の名所を巡り、また少し足を伸ばして晋州や浦項まで観光に行きました。特に印象的だったのは、西面駅の周辺に位置する釜田市場です。まさに伝統市場という感じで、韓国で暮らす人々のエネルギーを肌で感じることができます。

英語、韓国語の準備と実際

私は3月に釜山大学での実習が決まり、準備にかけられる時間が3か月と少しありました。韓国の医学生は英語に堪能であると先輩方が仰っていましたので、その間ラジオ教材や個人で契約したオンライン英会話などを利用して英会話、特に日常会話の練習を行いました。実習期間中に日常的なコミュニケーションに困ることがほとんどなかったことを考えると、事前に練習をして損はなかったと思います(九州大学からオンライン英会話などに対する補助があればと思いました。)。 しかし、医学的な英単語についてはもう少し準備が必要だったと感じました。脳外科を回った初めの1週間は教授の言っている内容がほとんどわからなかったため、前日に翌日の手術内容を聞き、予習をすることで対応しました。一方家庭医学科の外来見学では、細かい治療法や薬剤の作用機序を英語で説明するのは教授にとっても比較的困難なようで、教授も私も半分諦めてグーグル翻訳などを使ってコミュニケーションを取りました。 後輩の皆さんは実習する診療科における代表的な疾患、大まかな治療法、治療薬、臓器の解剖、術式くらいを前もって簡単に調べておくと実習が有意義に、かつぐっと楽になるかと思われますが、それでも事前に対応できる範囲には限界があるのは事実です。ある程度のところで見切りをつけて、日常会話の練習に時間をかけるか、漫画や和食といった日本の文化や日本人のものの考え方などを説明できるようにする方が良いかも知れません。飲み会の場での作法の違いなどは良い話のネタになると思います。 一方韓国語については全く対策をせずに渡韓しましたが、特に問題はありませんでした。実際出国前から韓国語はほとんど話せませんでしたし、留学を終えた今でもまったく話せません。ですが大学の外では基本的に英語は通じませんし、韓国語で話しかけられます。私は「私は日本人です。」と「韓国語はわかりません。」を韓国語で言えるようにしました。その後はスマートフォンの翻訳機能を駆使することで多くの場合乗り切ることができると思います。

韓国の医学生について

私は前半の2週間脳神経センターに配属され、同時期に実習をしていた2人の学生と仲良くなりました。韓国の医学生は英語で医学を学ぶ機会が多いためか、医学に関する英単語の知識は非常に豊富です。しかしこと日常会話に関しては、日本の一般的な医学生と大差ない印象を受けました。(写真2 現地の医学生と近くのレストランで) もし後輩の皆さんが同じように韓国に実習に行き、さらに現地の人たちと食事に行くようになったとき、ほぼ100%の確率で「恋人はいるのですか」と聞かれると思います。初対面であろうが関係ありません。ですが実際に恋人の有無はそこまで重要ではなく、アイスブレークの1つと捉えて気軽に答えれば良いと思います。

最後に

今回私がこの留学を決意したのは、海外の医学に興味があったからでも、韓国が大好きだったからでもありません。学生生活が残り1年となった今、「このまま何もせずモラトリアムを終えて良いのか、何かをしなければ」と一種の“焦り”があったのです。しかしやると決めたからには日本を出国前に2つの目標を立てました。1つは日常会話レベルの英会話を非ネイティブ話者とスムーズにできるようになること。もう1つは韓国で友人を作ることです。 前者について、事前にある程度練習していたこともあり達成できたように思います。これからは専門的な内容を英語で説明できるように勉強して行きたいです。また後者について、幸運にも同じ期間に実習をしていた学生と仲良くなることができました。彼らと酒を酌み交わした夜を忘れることはありません。 短期留学を決めた動機はあまり綺麗ではありませんが、1か月終えた今行って良かったと心から思いますし、これからの目標もできました。迷っている方は、ぜひ参加することをおすすめします。

  • 先生とお食事

    先生とお食事

  • 現地の医学生と近くのレストランで

    現地の医学生と近くのレストランで

  • 釜田市場

    釜田市場

釜山大学での実習を終えて

坂井 耀一

僕はクリクラ3期でPusan National University梁山病院に留学しました。

生活

病院から徒歩15分ほどの寮に無料で滞在させて頂きました。 食事は、朝食と夕食が無料でした。昼食は先生や学生と外食したり、オペ室の食堂を無料で使用させて頂きました。 また、部屋にはWi-Fi、トイレ、シャワー、ベッド、勉強机があり快適に過ごせました。洗濯機は一階の共用部にありました。 個人的には寮にコンビニがあったことがすごく助かりましたが、コンビニのおばちゃんは英語通じなかったので、翻訳アプリを使用することでなんとか乗り越えました。

実習

最初の2週間は神経外科を、次の2週間は整形外科を回りました。 神経外科では脊椎の手術を見ることが多かったです。同時に韓国の4年生の学生が二人回っており、その二人と仲良くなることができました。 先生たちから手術の説明を英語でして頂きましたが、度々わからない単語が出てきて、何度も聞き返してしまいました。 整形外科では上肢、下肢、小児、脊椎などのグループの手術と外来を交互に見学させて頂きました。外来では、レジデントの先生がGoogle翻訳を使いながら同時に通訳してくださいました。 韓国の先生や学生は医学を英語と韓国語で勉強するため医学英語力には差を感じ、自己研鑽しなければなと深く心打たれました。

交流

九大や長崎大に留学に来ていた学生や神経外科で一緒だった学生の友達、野球部の学生達と交流しました。会話は全部英語でしたが、お互いの英語力にそこまで差がないため会話として盛り上がることは多々ありました。 意外と日本のアニメや音楽も知ってくれており、共通の会話に困ることはなかったです。

休日

梁山は釜山の中心から電車で1時間くらいかかりましたが、海雲台、西面、南浦、広安里など釜山の観光スポットはほぼ全て見て回ることができました。寮からバス停が近く、電車も150円ほどでどこでも行けたので遠出も負担にはなりませんでした。 またキムチ、チヂミ、サムギョプサル、ヤンニョムチキン、タッカルビ、スンドゥブチゲ、デジクッパなど色々な韓国料理も堪能しました。中でも釜山名物のデジクッパはすごく美味しかったです。全て美味しかったですが、辛い食べ物が多く、途中日本食が恋しくなる日もありました。
最後にこの度、韓国でお世話になったすべての方々にこの場を借りて心よりお礼申し上げます。

  • 神経外科の学生とその友達と

    神経外科の学生とその友達と

  • 坂井耀一 整形の先生方と

    坂井耀一 整形の先生方と

  • 野球部の学生達と

    野球部の学生達と

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