学生生活

2025年08月21日

国際・留学

韓国 仁済大学校での短期留学報告

「クリニカル・クラークシップ」とは、学生が医療チームの一員として診療・治療に参加し、臨床能力を身につける臨床実習方式のことです。

九州大学医学部医学科では、韓国の仁済(インジェ)大学校と学生交換交流を実施しています。仁済大学校と九州大学病院とで、相互にクリニカル・クラークシップ参加のための短期留学派遣を行っています。

英語をはじめとする外国語を用いながら、母国とは異なる環境で医療を学ぶ経験は、学生にとって通常の大学生活では得られない貴重なものとなっています。

本記事では、2025年3月10日から3月13日にかけて仁済大学校へ短期留学を行った3名の学生の報告を掲載します。

坂井優理さんの実習報告

仁済大学校国際交流(PBL)感想

医学部医学科3年 坂井 優理

2025年3月10日から13日の4日間、仁済大学校のPBLに参加させていただきました。昨年度のPBLに参加した部活の先輩に勧められたことや、6年次に予定されているクリニカルクラークシップに参加したいことから今回の短期留学を希望しました。

PBL(Problem-Based Learning)とは、模擬患者を診察し、必要な検査を考え、収集した情報をもとに病因を特定し、治療方針を議論する学習方法です。仁済大学校では、6人1グループとなり、以下の3段階を経てPBLを行いました:

  1. Tutorial(教授の助言を受けながらグループ内で議論)
  2. Discussion(Concept mapやSchemaを班員で協力して作成)
  3. Conference(全体発表)

これらのプロセスを通じて、基礎科学と臨床科学の統合、根拠に基づいた臨床的問題解決能力、自己主導型学習スキル、そして協働学習スキルの獲得を目指します。

実習を通して驚いたことは、仁済大学校の学生たちの知識量、アウトプット能力、そして英語能力の高さです。今回のPBLのテーマは「内分泌の問題を中心にした多尿」でしたが、議論では内分泌だけでなく、生理学、解剖学、泌尿器学、循環器学、放射線学、神経学など、多岐にわたる知識を統合しなければなりませんでした。また、単に知識を持っているだけでなく、その知識を適切に引き出し、スムーズにアウトプットする能力が求められました。普段の授業では教授の話を聞いてインプットするだけの私にとって、症状から原因を特定するのは非常に難しかったです。さらに、私は日常英会話がかろうじてできる程度でしたが、仁済大学校の学生たちは、臓器や病名などの医学用語はもちろん、症状の原因や医学的理論を英語で説明する能力を持ち、非常に高い英語力を発揮していました。この点でも刺激を受けました。

韓国では医師によるストライキが行われ、学生たちの授業が休講となっていたため、実習後はほぼ毎日学生たちにいろいろな場所に連れて行ってもらいました。市場で韓国料理を買って公園でピクニックをしたり、広安里ビーチに行ったり、最終日にはフェアウェルパーティーを開いてくれたりと、実習外でもたくさんの思い出を作ることができました。

短期留学ということで、1週間弱の期間で実際に大きな成長をしたわけではありませんが、多くの刺激を受け、勉強への向き合い方や英語の自己学習への意識が大きく変わりました。もし今PBLに興味を持ってこの文章を読んでいる方がいれば、ぜひ参加してみてください。きっと貴重な経験となり、自分にとっての新たな気づきを得ることができるはずです。

最後に、仁済大学校の先生方、職員の方々、学生の皆さん、そして九州大学の職員の方々、このプログラムに関わった全ての方々に心より感謝申し上げます。貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。

杉野心莉さんの実習報告

釜山PBLを終えて

この度春休み中の3/9〜3/14の日程で、釜山研修に参加させて頂きました。初めに、現地でお世話になった石先生をはじめとする仁済大学校の先生方、スタッフの方々、そして生徒の皆さんに心より感謝申し上げます。

到着日の9日はPBL前日だったにも関わらず、ボランティアの生徒の方々が寮の使い方や大学の各部屋の説明をしてくれて、その後歓迎会で美味しい料理を振る舞ってくれました。会話が弾むか心配でしたが、仁済の学生が気さくに話しかけてくれるお陰ですぐに打ち解け合うことができ、ホッとしました。一緒にPBLを行った仁済の生徒の中には、私達が2年次に行った解剖実習の見学に九大を訪れていて、今回そのお返しに九大の学生をサポートしたいと参加してくれていた方もいました。医療ストライキの影響で一年以上授業が無く地元に帰っていたのに、わざわざ釜山にホテルを取ってまで参加してくれた生徒もいると聞き、優しさに心が温まりました。

PBLの授業は患者さんの症状から考えられることを、順序立てて細かく分解しながら吟味し、英語でディスカッションしながら学びを深め合う形式でした。仁済の学生はふと感じた疑問に対する探究心や新しい発見に対する好奇心が旺盛で、お互いがお互いを尊重し合いながらも活発に議論していました。医学部長や教授方が、PBLで1番大切なのは発言すること、と何度もおっしゃっていたので、私も積極的に発言するようにし、その考えに至った根拠についてもできる限り添えられるようにしました。意見を言うとすぐにフィードバックが周りから返ってきて、自分の意見を新しい視点から捉えられるという経験は凄く新鮮で、勉強になりました。教授方も学生に主体的な学びを促しながらも、生徒同士の意見交換終了後にはしっかりとアドバイスをくださいました。授業を通じて班で協力し準備したプレゼンは、最終日に私達日本人学生が英語で発表し、充実した学びを締めくくることができました。現在国際化が進み、医師同士が国籍の垣根を越えて患者さんの為にディスカッションする時代が来ていると感じます。私自身の課題として、四年次以降は実践的な医学の体得と共に、英語力の更なる研鑽に励んでいきたいです。

放課後は、5日間で最大限釜山を楽しめるようなプランを学生たちが自ら考えてくれて、ガイドしてくれました。代表的な韓国料理を全て集めてピクニックしたり、ボードゲームカフェに行ったり、韓国式プリクラを撮ったり、夜景の綺麗な広安里ビーチ周辺でお土産を見たり、雑貨屋さんを巡ったり、最終日にはホットク(韓国式ホットケーキ)の美味しいレストランでフェアウェルパーティをしたりと、毎日がわくわくすることだらけで幸せな思い出になりました。

改めて、この機会を与えてくださった仁済大・九大の全ての皆様に感謝いたします。日々、仁済大学校の皆様の温かいおもてなしやお気遣いが心に残りました。本当にありがとうございました。韓国の医学教育の状況がどう変化していくかは不透明ですが、両大学の交流が今後も更に発展していくことをお祈りしています。

石先生による修了証授与

石先生による修了証授与

PBL修了後の記念写真

PBL修了後の記念写真

広安里ビーチ

広安里ビーチ

藤井結意さんの実習報告

仁済大学のPBLに参加して

医学部医学科3年  藤井 結意

私は、この春、韓国の仁済大学との国際交流(PBL)に参加させていただきました。全ての会話が英語という環境で、5日間という短い期間でしたが、楽しくて、とても刺激的な毎日でした。

PBLとはproblem-based learningのことで、仁済大学で行われている授業の一つです。まず、模擬患者さんの問診をして、訴える症状から考えられる疾患を挙げていくことから始まります。必要な検査をオーダーして、その検査結果をもとに疾患を特定していき、治療方針を考えていくというものです。これらは学生主導で進められ、全て英語で行われます。

実際の臨床現場での診療のように、主訴や身体所見などから、鑑別、診断、治療方針に至るまでのアプローチやプロセスを実践してみて、様々な深い知識が必要であり、改めて日々の授業の大切さを感じました。また、学生主体で話し合いながら学びを深めていくPBLは、普段の講義形式で行われる受動的な学びとは異なり、とても新鮮でした。英語での問診をはじめ、患者さんの訴える症状の理解、疾患についての知識、ディスカッション能力などが求められましたが、仁済大学の学生たちは、幅広い知識と自分の意見をしっかり持っており、流暢な英語で表現していて、歴然とした差を感じさせられました。

今回の国際交流を通して、多くのことを学ばせていただきましたが、その中でも特に、英語力と行動力の大切さを身に染みて感じました。言語は意思疎通をするためのコミュニケーションツールであり、世界共通語である英語のスキルは、世界を舞台に活動するためには欠かせません。英語を理解して会話についていく必要があり、それに対してどう考えるのか、自分の意見を表現しなければ、同じ土俵にすら立てないのだと力不足を感じました。授業が英語で行われる仁済大学の学生とは違って、英語を話さずとも生活するのに困らないため、英語から少し離れてしまっていましたが、英語力のスキルアップには自分自身の努力が必要であると感じました。

今回のPBLへの参加は不安が大きく、私にとって勇気のいるチャレンジでしたが、得たものが多く、参加して本当に良かったと心から思いました。新しい環境に飛び込むのは勇気がいり、エネルギーや労力も伴うので、今いる環境に留まってしまいがちですが、自分が大きく変われるチャンスだと捉えて、何事においても、興味を持って、積極的に挑戦することの大切さを改めて感じました。

仁済大学の学生たちはみんなとても親切で、授業が終わった後は、観光地に連れて行ってくれたり、様々な種類の韓国料理を持ち寄ってピクニックをしたりしました。釜山の街並みや現地の人との心温まる交流を通して、多様な価値観に触れることができ、素敵な国民性や文化だなと思いました。毎日が充実していて楽しく、とても貴重な経験になりました。

最後になりましたが、仁済大学、及び九州大学の関係者の皆様、このような素晴らしい機会を頂きましたことを感謝申し上げます。また、ストライキで大学の授業が止まっているにもかかわらず、私たちのためにボランティアでPBLに参加して下さった仁済大学の皆様には感謝の思いでいっぱいです。本当にありがとうございました。

PBLに参加したメンバーと

PBLに参加したメンバーと

広安里ビーチにて

広安里ビーチにて

公園でピクニック

公園でピクニック

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