2026年08月24日
国際・留学
台湾 国立台湾大学での臨床実習報告(クリニカル・クラークシップ 6期)NEW
「クリニカル・クラークシップ」とは学生が医療チームの一員として診療・治療に参加し、臨床能力を身につける臨床実習方式のことです。
九州大学医学部医学科では、臨床実習の一環として、台湾の国立台湾大学での短期実習プログラムを実施しています。
記事では、2026年6⽉15⽇から7⽉10⽇にかけて短期留学を行った3名の学生の報告を掲載します。
山脇大尚さんの実習報告
医学部医学科6年 山脇 大尚
私は2026年6⽉15⽇から7⽉10⽇までの4週間、台湾の国立台湾大学病院にて大学の同期3名と共に海外臨床実習を⾏いました。私は血液内科と家庭医学にそれぞれ2週間ずつお世話になりました。⻑期間の海外⽣活は初めてであったため、出発前は⾔語や⽣活⾯に不安がありましたが、1ヶ月の経験は毎日非日常の連続で、とても楽しく、最高の経験でした。これから留学を考えている人には、自信を持って台湾をお勧めします。
『病院での実習』
血液内科では、病棟回診に参加したほか、担当の先生から定期的に個別のレクチャーをしていただきました。また週に一度、医学生とともに、末梢血や骨髄の標本を顕微鏡で観察する実習に参加しました。実習が始まってまず苦労したのが、医学英語でした。基本的な用語は理解できたものの、実際のカルテや回診では、なじみのない単語も多く、その都度意味を調べながら内容についていきました。実習を重ね、頻繁に使われる用語を覚えていくにつれて、カルテや回診の内容を次第にスムーズに理解できるようになりました。
レクチャーでは、貧血や免疫性血小板減少症をはじめとする血液疾患について、実際の症例と結びつけながら講義していただきました。国立台湾大学では、学生が自分で疑問点を見つけ、質問することが当たり前という雰囲気で、受け身ではなく、常に自ら疑問点を考えることが求められる実習は、私にとって刺激的でした。私も台湾の医学生の積極的に質問する姿勢を見習い、質問することで理解を深めました。帰国後も主体的に学ぶ姿勢を大切にしていきたいと考えています。
また、血液内科に関心を持つ私にとって、末梢血や骨髄の標本を顕微鏡で観察し、血球の形態的特徴を学ぶ実習は非常に有意義でした。授業中、先生が花びらのような形をした核を持つ細胞を映し、「これは何か」と私に尋ねました。それは成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)に特徴的な、いわゆる“flower cell”でした。ATLはHTLV-1と関連し、日本では九州などの地域に多くみられますが、台湾ではとても稀な疾患であるということで、その場で現地の学生とこの疾患について議論したことは特に印象に残っています。
家庭医学の実習では、主に老年医学、緩和医療、地域医療を中心に学びました。家庭医学と聞くと、日本ではあまり馴染みがないですが、特定の臓器や疾患というよりも慢性疾患や、老年医学といった、年齢、家族、生活環境、価値観を含めて患者さんを継続的に診る分野、というイメージだと思います。私は申し込みの時点で、家庭医学がどのような分野か、という興味で申し込んだのですが、家庭医学は患者さんとの会話が診療の中心となることが多いため、中国語が話せる方が良かったと思います。(私は話せず苦戦しました。)
病棟以外にも、外来診療を見学しましたが、初日は受診する患者さんの多さと、診療の進む速さに圧倒されました。私は先生の隣で見学し、診察後に先生から英語で症例を解説していただきました。患者さんの中には日本語を話せる方もおり、私が日本から来た学生だと知ると、日本語で話しかけてくださることもありました。訪問診療では、実際に患者さんの自宅を訪れ、台湾で暮らす人々の生活の場に入らせていただきました。家の造りや生活用品、家族が患者さんを支える様子などを見学する貴重な経験ができました。また台湾の医療制度や医療費、在宅医療を取り巻く状況についても説明を受け、患者さんの療養生活は、その国の文化や家族観、社会制度と深く結びついていることを実感しました。
実習中、特に心強かったのが、一緒に病棟を回った医学生の存在です。彼は初日から「何でも聞いてほしい」と声をかけてくれ、昼になると毎日、一緒に病院の食堂へ向かいました。カンファレンス室で一緒に待機する時間には、彼と様々なことを話しました。彼が勉強している内容や、入院患者さんのことから、「台湾に来たなら、ここに行ってほしい」「この店の料理がおいしい」といった話、台湾の若者の間で流行していることや、さらには台湾の医療が抱える課題、政治の話にまで話題は広がりました。彼が日本を好きで、日本語を勉強していたこともあり、私は日本語を教え、彼からは中国語や台湾の文化を教えてもらいました。こうした日々の交流は実習を支えてくれただけでなく、台湾という国をより深く理解するきっかけにもなりました。
台湾では外食文化が根付いており、昼になると医療従事者だけでなく、患者さんやその家族も食堂へ集まってきます。そこで食事をしたり、料理を持ち帰ったりする人々でにぎわう病院の食堂は、ショッピングモールのフードコートのようでした。
中でも私が特に気に入ったのは、好きなおかずを自由に選べる量り売り形式の店でした。容器に料理を盛って、最後に計量器へ載せると、重さに応じて値段が決まります。安く、多くの台湾料理を味わえるので、私は何度もその店に通いました。
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『生活』
同期、宗太郎と智也とのシェアハウスは毎日が非日常で本当に楽しかったです。放課後は毎日美味しそうなお店を探し歩いて、週末には台南や九份など様々な観光地に出かけました。台湾の食べ物はどれも美味しく、出会う人々も本当に優しく、日に日に台湾のことが好きになりました。あと1年位台湾に居たかったです。特に私たちは「熱炒」と呼ばれる台湾の居酒屋のようなお店が大好きでした。台湾を訪れた際にはぜひ。
また、国立台湾大学の医学生は留学生の私たちを本当に温かく迎えてくれました。実習中に仲良くなった友人の他にも、滞在中には台湾国立大学のサッカー部を紹介してもらい、現地の学生のサッカー部の練習に何度か参加させていただきました。スポーツによって、こんなにも簡単に言語の壁を超えて打ち解けることができるのだと、実感した瞬間でした。そこで出会った一人の医学生をきっかけに交流の輪が広がり、多くの医学生と知り合うことができました。週末にはレンタカーを借り、8人程で一日かけて観光地を巡りました。 また、留学の最後の1週間は、毎日彼らと一緒に過ごしました。ちょうど同じ時期に福島県立医科大学の医学生も交換留学に来ており、大学や国籍の垣根を越えて交流を深めることができました。
私が出会った国立台湾大学の医学生たちは、みんな日本が大好きで、本当に優しい人ばかりでした。彼らの温かさには心から感謝しています。一緒にきれいな夕焼けを見に行った日もあれば、屋台から漂う強烈なにおいの臭豆腐を食べたり、ジムで一緒に筋トレする日もありました。カラオケで日本の歌を一緒に歌い、台風で翌日が休みになった夜には、朝まで飲み明かしました。他愛のない話から、台湾と日本の違いや医師としての将来像といった真面目な話まで、英語や日本語、中国語を交えながら語り合いました。彼らと過ごした時間は、何ものにも代えがたい貴重な経験となりました。また、自分たちと同じ志を持ち、医師を目指して努力している学生が世界にはたくさんいることを改めて実感しました。彼らといつ再会できるかは分かりませんが、次に会うときには、互いの歩みや成長を喜び合えるよう、私自身も今回の経験を糧に学び続けたいと思います。
医学的な学びに加え、台湾で素晴らしい友人達に出会えたことは、私にとって今回の留学を通して得た、かけがえのない財産となりました。
このような機会を与えてくださった九州大学、国立台湾大学の皆様に感謝を申し上げます。また一緒に参加した同期二人にもこの場を借りて感謝したいと思います。本当にありがとうございました!真的很謝謝大家!!
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私は2026年6⽉15⽇から7⽉10⽇までの4週間、台湾の国立台湾大学病院にて大学の同期3名と共に海外臨床実習を⾏いました。私は血液内科と家庭医学にそれぞれ2週間ずつお世話になりました。⻑期間の海外⽣活は初めてであったため、出発前は⾔語や⽣活⾯に不安がありましたが、1ヶ月の経験は毎日非日常の連続で、とても楽しく、最高の経験でした。これから留学を考えている人には、自信を持って台湾をお勧めします。
『病院での実習』
血液内科では、病棟回診に参加したほか、担当の先生から定期的に個別のレクチャーをしていただきました。また週に一度、医学生とともに、末梢血や骨髄の標本を顕微鏡で観察する実習に参加しました。実習が始まってまず苦労したのが、医学英語でした。基本的な用語は理解できたものの、実際のカルテや回診では、なじみのない単語も多く、その都度意味を調べながら内容についていきました。実習を重ね、頻繁に使われる用語を覚えていくにつれて、カルテや回診の内容を次第にスムーズに理解できるようになりました。
レクチャーでは、貧血や免疫性血小板減少症をはじめとする血液疾患について、実際の症例と結びつけながら講義していただきました。国立台湾大学では、学生が自分で疑問点を見つけ、質問することが当たり前という雰囲気で、受け身ではなく、常に自ら疑問点を考えることが求められる実習は、私にとって刺激的でした。私も台湾の医学生の積極的に質問する姿勢を見習い、質問することで理解を深めました。帰国後も主体的に学ぶ姿勢を大切にしていきたいと考えています。
また、血液内科に関心を持つ私にとって、末梢血や骨髄の標本を顕微鏡で観察し、血球の形態的特徴を学ぶ実習は非常に有意義でした。授業中、先生が花びらのような形をした核を持つ細胞を映し、「これは何か」と私に尋ねました。それは成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)に特徴的な、いわゆる“flower cell”でした。ATLはHTLV-1と関連し、日本では九州などの地域に多くみられますが、台湾ではとても稀な疾患であるということで、その場で現地の学生とこの疾患について議論したことは特に印象に残っています。
家庭医学の実習では、主に老年医学、緩和医療、地域医療を中心に学びました。家庭医学と聞くと、日本ではあまり馴染みがないですが、特定の臓器や疾患というよりも慢性疾患や、老年医学といった、年齢、家族、生活環境、価値観を含めて患者さんを継続的に診る分野、というイメージだと思います。私は申し込みの時点で、家庭医学がどのような分野か、という興味で申し込んだのですが、家庭医学は患者さんとの会話が診療の中心となることが多いため、中国語が話せる方が良かったと思います。(私は話せず苦戦しました。)
病棟以外にも、外来診療を見学しましたが、初日は受診する患者さんの多さと、診療の進む速さに圧倒されました。私は先生の隣で見学し、診察後に先生から英語で症例を解説していただきました。患者さんの中には日本語を話せる方もおり、私が日本から来た学生だと知ると、日本語で話しかけてくださることもありました。訪問診療では、実際に患者さんの自宅を訪れ、台湾で暮らす人々の生活の場に入らせていただきました。家の造りや生活用品、家族が患者さんを支える様子などを見学する貴重な経験ができました。また台湾の医療制度や医療費、在宅医療を取り巻く状況についても説明を受け、患者さんの療養生活は、その国の文化や家族観、社会制度と深く結びついていることを実感しました。
実習中、特に心強かったのが、一緒に病棟を回った医学生の存在です。彼は初日から「何でも聞いてほしい」と声をかけてくれ、昼になると毎日、一緒に病院の食堂へ向かいました。カンファレンス室で一緒に待機する時間には、彼と様々なことを話しました。彼が勉強している内容や、入院患者さんのことから、「台湾に来たなら、ここに行ってほしい」「この店の料理がおいしい」といった話、台湾の若者の間で流行していることや、さらには台湾の医療が抱える課題、政治の話にまで話題は広がりました。彼が日本を好きで、日本語を勉強していたこともあり、私は日本語を教え、彼からは中国語や台湾の文化を教えてもらいました。こうした日々の交流は実習を支えてくれただけでなく、台湾という国をより深く理解するきっかけにもなりました。
台湾では外食文化が根付いており、昼になると医療従事者だけでなく、患者さんやその家族も食堂へ集まってきます。そこで食事をしたり、料理を持ち帰ったりする人々でにぎわう病院の食堂は、ショッピングモールのフードコートのようでした。
中でも私が特に気に入ったのは、好きなおかずを自由に選べる量り売り形式の店でした。容器に料理を盛って、最後に計量器へ載せると、重さに応じて値段が決まります。安く、多くの台湾料理を味わえるので、私は何度もその店に通いました。
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『生活』
同期、宗太郎と智也とのシェアハウスは毎日が非日常で本当に楽しかったです。放課後は毎日美味しそうなお店を探し歩いて、週末には台南や九份など様々な観光地に出かけました。台湾の食べ物はどれも美味しく、出会う人々も本当に優しく、日に日に台湾のことが好きになりました。あと1年位台湾に居たかったです。特に私たちは「熱炒」と呼ばれる台湾の居酒屋のようなお店が大好きでした。台湾を訪れた際にはぜひ。
また、国立台湾大学の医学生は留学生の私たちを本当に温かく迎えてくれました。実習中に仲良くなった友人の他にも、滞在中には台湾国立大学のサッカー部を紹介してもらい、現地の学生のサッカー部の練習に何度か参加させていただきました。スポーツによって、こんなにも簡単に言語の壁を超えて打ち解けることができるのだと、実感した瞬間でした。そこで出会った一人の医学生をきっかけに交流の輪が広がり、多くの医学生と知り合うことができました。週末にはレンタカーを借り、8人程で一日かけて観光地を巡りました。 また、留学の最後の1週間は、毎日彼らと一緒に過ごしました。ちょうど同じ時期に福島県立医科大学の医学生も交換留学に来ており、大学や国籍の垣根を越えて交流を深めることができました。
私が出会った国立台湾大学の医学生たちは、みんな日本が大好きで、本当に優しい人ばかりでした。彼らの温かさには心から感謝しています。一緒にきれいな夕焼けを見に行った日もあれば、屋台から漂う強烈なにおいの臭豆腐を食べたり、ジムで一緒に筋トレする日もありました。カラオケで日本の歌を一緒に歌い、台風で翌日が休みになった夜には、朝まで飲み明かしました。他愛のない話から、台湾と日本の違いや医師としての将来像といった真面目な話まで、英語や日本語、中国語を交えながら語り合いました。彼らと過ごした時間は、何ものにも代えがたい貴重な経験となりました。また、自分たちと同じ志を持ち、医師を目指して努力している学生が世界にはたくさんいることを改めて実感しました。彼らといつ再会できるかは分かりませんが、次に会うときには、互いの歩みや成長を喜び合えるよう、私自身も今回の経験を糧に学び続けたいと思います。
医学的な学びに加え、台湾で素晴らしい友人達に出会えたことは、私にとって今回の留学を通して得た、かけがえのない財産となりました。
このような機会を与えてくださった九州大学、国立台湾大学の皆様に感謝を申し上げます。また一緒に参加した同期二人にもこの場を借りて感謝したいと思います。本当にありがとうございました!真的很謝謝大家!!
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渡辺智也さんの実習報告
医学部医学科6年 渡辺 智也
私は2026年6月15日から7月10日までの4週間、台北市にある国立台湾大学病院で臨床実習をさせていただきました。
【実習】
私は前半の2週間は内科で、後半の2週間は一般外科で実習させていただきました。
内科では特に肝臓グループの病棟で実習させていただきました。主なスケジュールとしては、午前中に回診やカンファレンス、レクチャーに参加し、午後には肝臓のエコーや、私の希望を汲んでいただいて内視鏡による検査・治療を見学しました。カンファレンスやレクチャーにおいて、肝胆膵領域の知識を英語で学ぶことができ、また、台湾では日本と比較してA型・B型肝炎の頻度が高く、ウイルス性肝炎について深く学びました。実習中には、肝疾患の診断や治療に関する意見や質問を英語で求められることが多々ありました。疾患に関する勉強はもちろんですが、自分の医学英語の知識の乏しさや、英語でスピード感を持って文章を組み立てる能力の不足を実感し、更なる努力が必要だと感じました。
外科では、自分の興味のある分野の手術を見学することができ、私は膵頭十二指腸切除や肝移植などの肝胆膵領域の手術を見学しました。九州大学の臨床実習でも肝胆膵領域の手術を見学しましたが、摘出した肝臓を冷やすための氷をシャーベット状に作る機械など、初めて見る機器があり、興味深かったです。また、現地の先生と手術についてディスカッションをすることで、英語で解剖を学ぶ良い機会になりました。
実習を通して、先生方は私が見たいものや経験したいことを確認しながら実習を進めてくださいました。何か自分が体験したいことを考え、遠慮なく相談することが大切だと思います。

内視鏡検査の見学
【生活】
私は病院から地下鉄で3駅離れた場所に、一緒に実習に行っていた同級生と3人でアパートを借りて滞在しました。台湾の治安は非常に良く、また街や公共交通機関の雰囲気が日本と似ていたため、ストレスなく過ごすことができました。食事に関しては、台湾には小さな飲食店が町中に無数にあり、安価で食事ができるため、自炊せずに外食のみで過ごすことができました。また、病院内にはフードコートがあり、多数の飲食店が出店していたため、実習中の食事も楽しむことができました。
【交流】
私は国立台湾大学の医学部サッカー部と全学サッカー部の練習に参加させていただきました。プレーヤーの学生たちはとてもフレンドリーに私を受け入れてくれました。一緒にスポーツをすることで、英語が流暢でなくても打ち解け、友達をたくさん作ることができました。
また、サッカー部や実習でできた現地の友達が、放課後や休日に海沿いのドライブに連れて行ってくれたり、おすすめの夜市に連れて行ってくれたりしました。現地の学生や日本の別の大学からの留学生と交流する時間が多かったことは、今回の留学が充実した大きな理由であると感じています。

サッカー部の皆さんと
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台湾の学生、留学生とのドライブ
【最後に】
今回の実習を通して、英語で医療を体験するという貴重な経験に加え、台湾や日本の学生と会話を楽しんだり、スポーツをしたり、遊びに出かけたりと、非常に充実した1か月を過ごさせていただきました。
最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださった九州大学の皆様、国立台湾大学の先生方や学生の皆様、他大学からの留学生の皆様に感謝申し上げます。
永田宗太郎さんの実習報告
医学部医学科6年 永田 宗太郎
1. 参加の目的
近年、大学には海外からの留学生が訪れ、医学論文の多くは英語で書かれています。また、学会でも英語による発表やセッションに接する機会が増えており、将来医療に携わるうえで、英語を用いて学び、意思疎通を行う力はますます重要になると感じています。そこで今回、英語を使う環境で医学を学び、海外の医学生や医療者がどのように臨床に向き合っているのかを知ることを目的として、国立台湾大学での実習に参加しました。
台湾を実習先に選んだ理由は、地理的・文化的に日本と近い一方で、医療制度についてはどうなのか興味があったからです。さらに、台湾は食の魅力が大きい国だと以前から聞いており、専門的な学習だけでなく、現地の生活や文化にも触れたいと考えていました。
2. 実習の概要と肝臓内科での学び
実習は、まさかの飛行機の欠航から始まりました。余裕のある旅程を立てていたため、翌日の便に変更してもらい、実習については問題なく開始することができました。私は国立台湾大学の消化器内科肝臓グループに配属され、林先生(Dr. Lin)をはじめとする先生方やレジデント、学生とともに実習を行いました。
2-1. ミーティング
朝は、ミーティング、回診、討論会のいずれかがあります。ミーティングは10人程度で行われる勉強会です。初週には肝臓超音波検査の実習が行われ、指導医、レジデント、学生の順に実際の検査を行いました。学生も「何を観察したいのか」「そのためにはプローブをどの角度で当てるのか」を考えながら操作していました。単に検査を受け身で見学するのではなく、目的を明確にして画像を取得する姿勢が身についていることに驚きました。
また、指導医やレジデントが作成したスライドを用いて講義を行う機会もありました。英語で医学的な説明を聞き、疑問点を整理し英語で質問する経験は、医療英語を実践的に学ぶ貴重な機会となりました。英語を学ぶだけでなく、病歴や検査結果をどのような順序で説明するのか、医学的な議論をどのように組み立てるのかを学ぶことができました。
2-2. 回診
回診にはおおむね10人程度が参加しました。患者一人ひとりについてナースステーションで情報を共有してから病室を訪れる形式と、学生が教授の前で担当患者の画像や血液検査データを説明し、今後の方針まで述べる形式もありました。
教授からの質問は鋭く、学生にとって決して簡単なものではなかったと思います。しかし、学生は質問の意図を考えながら、画像所見や検査データを根拠にしてしっかりと受け答えをしていました。担当患者に限らず、他の患者についても画像や検査結果を当たり前のように評価しており、臨床推論の力が非常に高いと感じました。特に、画像や検査データの評価が実践的に身についている点は印象的でした。この回診を通して、学生の段階から患者の情報を自分で整理し、診断や治療方針を考えて説明する訓練を積むことの重要性を実感しました。学生だからといって先人のカルテに書かれた評価や計画をそのまま参照し、受け身になるのではなく、自分で情報を集め、最初からPlanまで組み立てることに挑戦しなければならないと感じました。
2-3. 討論会
週に一度、30人程度が参加する討論会も行われました。毎回一つの医学的な議題を取り上げ、発表者らが二つの立場に分かれ、それぞれが根拠となる論文を提示しながら聴衆を説得する形式です。例えば、再発を繰り返す大腸憩室炎に対して手術を行うべきか、保存的加療を続けるべきかというテーマについて、手術の利点やリスク、患者背景を踏まえて議論していました。議論は非常に活発で、医学部5・6年生から教授まで、それぞれの立場から意見を述べていました。このような討論会は、日本の医学教育に導入しても非常に有意義だと感じました。

2-4. 午後の実習
午後は、指導医の先生による超音波検査、ERCP、上部・下部消化管内視鏡検査を見学しました。検査を見せていただくだけでなく、毎回、患者の病歴から丁寧に説明していただき、検査中も所見や手技の意図について解説を受けました。そのため、消化器内科の知識と医療英語を同時に学ぶことができました。英語で病歴を聞き、検査所見を説明し、治療方針につなげていく過程を実際に聞けたことで、実践的に英語を学ぶことができました。
3. 現地の学生
同じ肝臓グループを回っており友人になった現地のBrianとJohnnyは、高いレベルの実習をこなしながら、手術とAIを結びつける研究にも取り組んでいました。日本の学生にも技術的に優れた人はいると思いますが、臨床実習と研究を自ら結びつけて積極的に挑戦する姿勢には大きな刺激を受けました。「自分もうかうかしていられない。もっと勉強しなければならない」と強く感じた経験です。
4.現地での食事
大学がある日の昼食は、病院地下の食堂を利用することが多かったです。食堂というよりフードコートに近く、モスバーガーやスターバックスから現地の料理までさまざまな店が並んでおり、食事の選択肢に困ることはありませんでした。病院食を選ばず地下の食堂を利用する患者さんも多いため、昼休みには大変混雑していました。現地の学生に勧めてもらった病院近くにある飯糰霸というお店のおにぎりは具材がたっぷり入っており、台湾独自の具材を楽しめました。
実習の合間や休日には、台湾の食文化も楽しみました。私が実際に食べてハマったおすすめの料理を紹介します。
肉夾饃(ロージャーモー)…パイ生地のような皮で肉あんを挟んだ食感が印象的
滷肉飯(ルーローハン)…タレの染み込んだ豚肉とご飯の相性が抜群
鵝肉(ガチョウの肉)…燻製の香りがたまらない
蚵仔酥(カキフライ)…小ぶりだがサクサクとした生地と牡蠣の旨味が食欲をそそる
地瓜球(ポテトボール)…外はサクサク中はもちっとした食感
脆皮鮮奶甜甜圈(台湾ドーナツ)…サクサク食感、噛めば甘さが口全体に広がる
18ビール…キレと爽快感の後に広がる米由来の甘さが癖になる
5. 現地での生活や交流
台湾は想像していた以上に暑く、長ズボンでの行動はかなり厳しかったため、暑さ対策は必須だと感じました。一方で、街のいたるところに日本語があり、店員さんにも日本語を喋る方が多かったです。観光しやすく困ることはありませんが、積極的に英語を話しにいかないと言語の練習にはなりません。
また、大学のサークルで以前から交流していた台湾の医学生とも再会し、一緒に街を歩きました。そこで、実習中に親しくなったBrianとJohnnyが、その学生と昔からの友人であることが分かりました。思いがけないつながりに驚き、「世界は狭い」と感じるとともに、海外での交流が新たな人間関係につながっていく楽しさを実感しました。
6.今後に活かしたいこと
今回の実習で最も大きな学びは、学生のうちから患者情報を自分で分析し、評価と計画を一から組み立てる姿勢の重要性です。これまでは学生という立場を理由に、先人のカルテに記載された評価や計画を参考にして終わってしまうこともありました。しかし、台湾の学生が教授の前で画像や検査データを説明し、根拠をもって方針を述べる姿を見て、自分もより主体的に臨床に向き合う必要があると感じました。また、英語で医学を学ぶことは、知識の獲得だけでなく、異なる背景を持つ人と議論し、相手に伝わるように考えを整理する訓練でもありました。今後は英語論文を読むだけで満足せず、内容を自分の言葉で説明する練習にも取り組みたいです。
国立台湾大学での実習は、肝臓内科を中心とした医学的な学びに加え、台湾の学生や医療者の積極性、現地の文化や食、人との交流に触れられる充実した経験でした。欠航から始まる予想外の実習ではありましたが、学ぶことの面白さと海外で過ごす楽しさを同時に味わうことができました。この経験を今後の学習と臨床に活かし、患者の情報をもとに自ら考え、根拠をもって行動できる医療者を目指したいです。
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国立台湾大学病院 (地下もB4Fまである大きな病院)

以前、熱帯医学研究会との交流で福岡に来たという饒先生

麻婆豆腐も絶品、今まで食べた麻婆豆腐の中で一番美味しかった
