学生生活

2012年06月27日

国際・留学

慶尚(キョンサン)大学国際交流

 九州大学医学部医学科では、韓国の仁済(インジェ)大学、慶尚(キョンサン)大学、釜山(プサン)大学の3大学と学生交換交流を実施しており、平成24年4月2日(月)~27日(金)の期間、九州大学の医学科6年生2名が、慶尚(キョンサン)大学を訪問しました。
 現地では英語を使用し、現地の学生と共に臨床実習を行いました。

  国際交流 (医学研究院のウェブサイトへリンクします。)

慶尚大学医学部実習 感想文
医学科6年 末安 巧人

基礎から臨床までを講義に実習にと幅広く学ぶ

私は6年次の4月に研究室配属において、臨床検査医学分野のプログラムを利用して韓国の慶尚大学医学部で4週間実習をさせていただく機会を得ました。
今回の私の実習のスケジュールは、前半2週間は臨床検査、第3週目に消化器内科、第4週目はERで慶尚大学の医学生とともに学び、加えて第2週目~第4週目の実習の後16時~18時はERで救急対応を見学して過ごしました。基礎から臨床までを講義に実習にと幅広く学ぶとともに韓国の医学教育ならびに医療制度に触れる機会となりました。

多くの人生経験に裏打ちされた豊かな人間性をもつ学生が多い

 
ER災害医療実習にて
数多くの気づきに溢れた新鮮な1か月間でしたが、その中でも私にとって大きな驚きとなったのは学生のまじめさでした。
韓国の医学部の仕組みは日本のそれと違い、高校卒業後6年間通うタイプのものに加え、他の学部(他大学も可能、4年間以上の在籍が必要)を卒業した後、EMMTという共通試験を受験した後に4年間通うタイプの2種類があり、慶尚大学は後者にあたります。今回私は、我が国では5年生に相当する医学科3年生の実習に参加させていただきましたが、そのような背景があるためか、同じ学生といっても多くの人生経験に裏打ちされた豊かな人間性をもつ学生が多いという印象を受けました。また、将来に対するビジョンが明確な学生が多く、全体的に医学を学ぶ姿勢が非常に熱心でした。このため、明確な目標設定のもと学生各々が強い目的意識を持って医学を学んでいるように感じました。自分自身の学びに対する姿勢と比較して背筋の伸びる思いを受けました。

医療を志す彼等の姿を通して自身を振り返る機会

 今回のプログラムは4週間と前年度の1週間と比べて長期間となっていました。
1か月という期間は一見長いように感じられますが、楽しいコミュニケーション主体の交換留学体験に留まらず、現地の学生の生活を体感することによってより深く韓国の医学生の実際を知ることができ、また、同じく医療を志す彼等の姿を通して自身を振り返る機会となりました。大変有意義で貴重な時間を過ごすことができたと感じています。是非後輩のみなさんにも本プログラムへの参加をお勧めしたいと思います。

 最後になりましたが、本プログラムにおいて私達を受け入れてくださった慶尚大学病院臨床検査部Kim Sun-Joo教授ならびに各科スタッフの先生方、韓国語の不得手な私に一生懸命英語で話しかけていただきました慶尚大学医学部の学生のみなさんに心より感謝を申し上げます。
そして本プログラム責任者である九州大学病院検査部・臨床検査医学分野の康東天教授には実習期間の選択の際、当初2週間の実習を選択しようとしていた私にきっとよい実習ができると4週間のプログラムを薦めていただき、このような充実した実習をすることができました。深く感謝申し上げます。

 


慶尚大学での留学体験
医学科6年
國村和史


多くの友人や尊敬する先生方と出会い かけがえのない時間

 この春、私は国立大学である慶尚大学に4週間滞在し、大学病院で消化器内科、呼吸器内科、臨床検査・病理、心臓外科、産婦人科、ERで非常に充実した実習をさせていただきました。医療・教育・価値観などの日本との相違点を学び、英会話のスキルを伸ばす機会となっただけでなく、韓国の文化を五感で知り、多くの友人や尊敬する先生方と出会い、本当にかけがえのない時間を過ごすことができました。そこで得た体験や感想をご報告させていただきます。

卒前教育の文化や価値観の違いだけでも大きな衝撃

 私が最も驚いたことは、学生の知識の多さです。メディカルスクール(医学大学院)であることも関係していると思うのですが、慶尚大学の学生は熱心に勉強しており、実際に一緒に実習をまわってみるとその知識量の豊富さに愕然とした瞬間が幾度となくありました。ある学生は英語版の重いハリソンを小脇に抱えて病棟に向かうのですから、その姿勢がまず違います。日本では先生方から「学生の時にしか時間はないので、後悔のないようによく学びよく遊んで、良医になるための人間性を磨きなさい」と言われます。対して韓国では「働き始めたらもう‘医師’と見なされるため、恥ずかしくないように医学的知識や診察手技は今のうちにしっかり身に付けなさい」と勉強の重要性を強調されるようです。実際に国試では筆記試験だけでなくOSCEも課せられ、約50項目の手技を覚えないといけないそうですから学生の負担は少なくありません。そのため部活動やサークル活動も九州大学ほど盛んではないように感じました。そのような卒前教育の文化や価値観の違いだけでも、私にとっては大きな衝撃を与えるものでした。

英会話のスキルとはコミュニケーションしてみようとするスキル

 
 そして教育カリキュラムもまたユニークであり、内科をまわっているときの基本的な1日は右図のようなものでした。非常にタイトなスケジュールになっていましたが、講義では先生がジョークを言うなど、ところどころで笑いが生じ全く飽きのこない内容でした。医学用語に関しては英語で講義されていたので、非常に勉強になりました。

 休み時間には韓国の学生とカフェでお互いの夢や最近の流行りについて話し、あるときは白衣のまま公園に行き、日本の漫画やドラマの話から宗教や政治の話に至るまで様々な分野について語り合いました。英会話に自信のなかった私ですが、物怖じせずに伝えようとすることで自然とコミュニケーションができるようになっていきました。慶尚大学のある産婦人科の先生から言われた、「英会話のスキルとは相手とどうにかコミュニケーションしてみようとするスキル」というフレーズが今でも印象に残っています。尻込みをせずに、何かを思い付いたら声に出してみること、その精神が何より重要だと気付かされました。



日本では見ることのなかった心房粘液腫の摘出術や帝王切開を見学できた

 
韓国実習メンバーと先生方との食事会
 この4週間は学生や先生とほぼ毎日のように食事に行き、韓国の食文化にも大いに触れることができました。お酒を酌み交わしながらも、「実習で困っていることはないか」と常に気にかけて下さり、その温かさに日々感激していたのを覚えています。そして交換留学プログラムの責任者であります慶尚大学臨床検査部のKim Sun-Joo教授には、より良い実習となるよう私たちの要望に120%の熱意で応えて下さり、本当に感謝しております。お陰様で日本では見ることのなかった心房粘液腫の摘出術や帝王切開を見学できる機会を得ただけでなく、大学の体育祭に参加したり、有名な観光スポットに連れて行っていただいたりと、これ以上にないほどの有意義な体験をさせていただきました。このような素晴らしい機会を私たちに与えて下さった康東天教授に深く感謝しますと同時に、本プログラムがますます人気となり日韓の医学生の交流が更に盛んになることを祈念しております。
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