学生生活

2010年07月28日

国際・留学

グーテンベルク大学(ドイツ)での臨床実習 1

 
左写真:左から、岡本さん、村上君、胸部外科の麻酔科医Dr. Karmrodt(カムロート)、
脳神経外科の麻酔科医Dr. Tzanova(ツァノバ)、前田さん。
実習最終日に、麻酔科医控え室で撮影。



 麻酔・蘇生学では、今年度より6年生のベッドサイド教育に海外(ドイツ)実習を取り入れています。ドイツのマインツにあるグーテンベルク大学(Johannes Gutenberg-Universitaet Mainz)の麻酔科での4週間の実習です。グーテンベルク大学麻酔科のヴェルナー教授のご好意により実現したもので、教育プログラムも充実しており、外科系各科の麻酔を4週間しっかりと勉学することができます。ドイツでの医学教育は日本といろんな面で異なっています。実習の中身もより臨床に則した形がとられ、手術室での毎日の実習の中で麻酔手技も自ら多く経験できます。ドイツの医学部生や麻酔科スタッフとの交流も広い視野を持つのに多いに役立つと思います。当大学の麻酔科に勤務している九州大学医学部出身の福井公子先生(平成9年卒)が世話役となり、現地でのいろんなコーディネイトをしてくれています。英語の会話力がある程度は必要ですが、勉学に対する情熱と患者さんに寄り添う気持ちがあれば、この海外実習で多くの収穫が得られるはずです。この教育プログラムには、今年度はクリニカルクラークシップ期間内の2期(5月10日~6月4日、8月30日~9月24日)に分かれて、それぞれ3名の医学科の学生が参加します。
[文責:麻酔・蘇生学分野 外 須美夫教授]


以下に、第1期に参加した学生からの感想文を記載しています。


ヨハネス・グーテンベルク大学 留学を終えて
医学科6年 前田 多鶴


 九州大学では、現在、海外留学先を増やす取り組みが進められています。その先駆けとして、2010年、このドイツへの留学プログラムが始まりました。私たち、第1期生の留学がどのようなものであったかを、ここに紹介したいと思います。
2010年5月6日から6月5日までの1ヶ月間、私たちは、医学科6学年のクリニカルクラークシップの一環として、ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学病院麻酔科に留学しました。約半年前に留学が決まり、手探りの部分も多い中、現地で働いている九州大学医学部ご出身の福井先生と連絡を取りながら準備を進めていきました。前例のない1期生ということもあり、不安も多い中で始まった留学でしたが、現地では、麻酔科の教授をはじめ、多くの医師、看護師の方々が私たちを快く歓迎してくれました。
実習は、胸部外科、一般・腹部外科、脳神経外科をローテートするプログラムになっていて、毎日、各手術場で麻酔科医につき、麻酔を見学しました。先生方は皆とても熱心で、学生を育てようという気持ちが強く、麻酔の導入から、維持、覚醒、ICUでの管理など様々なことを、ひとつひとつ丁寧に教えてくださいました。実習中、疑問に思ったことを尋ねれば、それについて詳しく説明してくださいました。その中で、麻酔の奥深さを実感し、麻酔学を興味深く思ったことが印象に残っています。このドイツ留学の目的のひとつに、日本ではICの問題でなかなか学生ができない麻酔科の手技を、実際に行い学ぶことがあります。具体的には静脈ルートの確保、マスク換気、胃管挿管、気管挿管・抜管、採血などで、希望すれば先生、看護師の指導のもと、何度も経験することができました。毎日麻酔導入を手伝う中で、失敗をしながらも徐々に上達し、留学が終わる頃にはスムーズに行うことができるようになったと思います。また、見学実習以外にも、麻酔薬、麻酔管理の講義や、シミュレーション人形を使った麻酔トレーニング、救急外来実習などもありました。日本とドイツの医療現場には違いもたくさんありましたが、ここでしか学べない多くのことを学べたと思います。
週末には、ドイツの様々な都市の観光することができました。ドイツの中でも都市ごとに異なる街並み、文化を感じることができ、とても楽しい時間を過ごせました。
この1ヶ月の留学を通して、麻酔についてたくさんのことを学ぶことができましたが、それだけではなく、日本にいるだけではきっと得られなかった、多くの貴重な経験ができたと思っています。外国の医療や文化にふれ、また、海外から日本を見て考えることで、今までになかった国際的な視点をもって、自分の医師としての未来をみつめなおすことができました。始めは海外で実習することに戸惑いもありましたが、今はこの留学に参加できて、本当に良かったと思います。
最後に、たくさんの先生方、スタッフの方々の、計り知れない努力と協力のおかげでこの留学が現実となり、本当に貴重な1ヶ月を過ごせたこと、そして自分が一回りも二回りの大きく成長できたことを、心から感謝しています。この留学プログラムはまだ始まったばかりではありますが、今後さらに良いものに発展し、後輩たちのより良い留学経験、医師としての財産となっていくようにいくように、祈っております。


次回同じくグーテンベルク大学臨床実習に参加された村上さんの記事をご紹介いたします。
※当記事のレイアウトは変更する場合があります。
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