学生生活

2015年06月30日

国際・留学

[感想文追加]慶尚(キョンサン)大学国際交流(クリニカルクラークシップ)

  九州大学医学部医学科では、韓国の仁済(インジェ)大学、慶尚(キョンサン)大学、釜山(プサン)大学の3大学と学生交換交流を実施しており、平成27年3月29日(日)~4月25日(土)の期間に医学科6年生4名が慶尚(キョンサン)大学を訪問しました。

 現地では英語を使用し、授業外の時間も韓国の学生と食事を共にするなど交流を深めています。

国際交流 (医学研究院のウェブサイトへリンクします。)
  
  
   慶尚大学での実習に参加して
医学科6年 吉野 明久

  
 
  今回4月に韓国晋洲にある慶尚大学の実習に参加させていただきました。自分は整形外科、放射線科、内科(消化管)、救急で勉強させていただきました。最初はあまり参加する気はなかったのですが、今本当に参加してよかったなと思っています。どうしてよかったと思えたのかを少し書きたいと思います。
  



  
勉強面での2つの良かった点


  まず勉強面ですが、2ついいなと思った点があります。1つは他国の医学生がどれ程医学に向き合っているのかを知ることができる点です。韓国の医学生はとても熱心です。私達の大学同様各科を1週間か2週間でまわりますが、その短い期間でそんなにやらせるの?と自分達の大学では考えられない勉強量を課され、それをしっかりこなしているのがとても印象的でした。(ちなみに日本の学生は韓国でそこまで課されません) またプレゼンテーションがとても上手です。これはそれに重きをおいたカリキュラムになっているからかもしれませんが、自分とは大人と子供くらいの差に感じられました。このような刺激を受けられる機会はそうそうないのでそれがとてもよかったです。
  
  もう1つは英語の勉強になるところです。韓国では医学を当たり前のように英語で学んでいます。ただし彼らの母国語ではありません。また私達は5年の臨床実習の後に韓国の実習に参加します。すなわち一度自分達が日本で学んだことを反復してさらにそれを英語で学べるのです。これはとても学習効果が高かったです。また英語で話すこと自体あまり苦になりません。なぜなら日本も韓国も英語は母国語ではないので間違った表現であっても気にせずどんどん使いあうからです。そのような中でも通じ合えるので医学英語の導入としてはとても最適だと感じました。

勉強以外の面でも2つの良かった点


  次に勉強以外の面ですが、こちらも2つほど挙げられます。まずいいなと思ったのは韓国の学生の温かさです。とても感激しました。実習4週間のうち最初の2週間は日本人は自分ひとりだったのですが、特にその時自分が一人で淋しくならないよう夕飯はほぼ毎日のように連れて行っておごってくれ、週末は釜山等に連れて行ってくれました。本当に感謝しています。
  
  また適度に都会で適度に田舎であった点もよかったです。行く前には慶尚大学のある晋洲はすごく田舎だと聞いていたのですが、実際に行ってみると大学の周りにはレストランや食事のできるところがたくさんあって意外に都会でした。自分は海外の食事が苦手なのですが、韓国の料理だけは大丈夫でした。むしろすごくおいしかったです。田舎である点の話をすると晋洲は観光できるところがあまりないのが残念でした。ただ観光地ではないため、あまり人が訪れず日本人を物珍しそうに見てくる人が多いという印象でした。だます人が少ないためか、テレビ等で目にするような悪徳なタクシー業者は皆無で、晋洲のタクシーは安くて、サービスもよく非常に使い勝手が良かったです。

これからこの実習に参加しようと思っている人へのアドバイス


  これからこの実習に参加しようと思っている人に少しアドバイスをすると慶尚大学であれば、お金を一応4、5万円は現金で持参した方がいいです。そして現地でウォンに替えた方がいいです。交通費、宿泊費はすべて出ます、特に宿泊費はかなりいい部屋を慶尚大学側がお金を出して使用させてくれるのでとても快適です。ネットは病院内で使用できないので、日本からレンタルのwifiを借りていくことをお勧めします。宿泊する寮には有線LANがあるのでそれを使えるような機器を準備していくと寮でネットをするのに困りません。最後に毎年1月に慶尚大学から短期留学生が九州大学病院に来ると思いますが、そこで韓国の学生と仲良くなっておくと、韓国での実習はきっと何十倍にも楽しくなりますよ。
  
  

    
  
   韓国慶尚大学実習を終えて
医学科6年 後藤 健志

  
 
  慶尚大学のある晋州(Jinju)は、釜山から車でおよそ1時間半西方に位置する小さな街ですが、とても過ごしやすいところでした。必要なお店は全て揃っていて、静かで治安も良く、夜に南江の川沿いを散歩しているときにふと浮かび上がる晋州城のライトアップなどは息を呑む美しさです。慶尚大学病院はこの街の医療を一手に担う拠点病院で、プライマリーケアから高度先進医療まで幅広く行っており、地元住民からの信頼も厚いという印象を受けました。ここで私は韓国の学生に混ざり1週目は消化器内科、2週目は臨床検査部に配属されて実習を行い、週に2日は救急部の見学もさせて頂きました。
  



  
医学英語能力の高さに衝撃


  実習が始まり、あちらの学生の勤勉さや知識量にも圧倒されましたが、最も衝撃を受けたのは医学英語の能力の高さです。なぜ同じ医学生なのに日本の学生とこれほどの差があるのかと焦りすら覚えました。彼らは入学時に高い英語力を求められるだけでなく、医学に関するあらゆる知識をまず英語で覚えるのだそうです。教科書も、英語版を使うか韓国語版のものでも半分は英語で表記されています。そこには意識的に世界で通用する医者を育てようとする大学や国の方針が見て取れました。

印象的だった晋州の方の親切さ


  もう一つ、あちらの先生や学生の特徴で驚いたのは、皆が客人である私達に対して非常に親切であるということです。こちらにも客人をもてなす文化はありますが、晋州ではそれが著しく強いように感じました。特に印象に残っている2つのエピソードがあります。
  
  1週目、まだ環境に慣れずに四苦八苦している私を、ある日の実習後に同じ班の学生達が遊びに連れて行ってくれました。焼き肉をご馳走してもらい、ボーリングにデザートにと色々連れて行ってもらって帰りにお礼を言う際、いつも遊ぶときはこんな風なのかと聞きました。すると班員は、普段は忙しくて遊びに行く暇はないから、皆で遊んだのも実はこれが初めてなのだ、と言いました。あちらの学生は本当に日々忙しく勉強していて、不可能に思えるほど短い期間で膨大な量のレポートやプレゼンも作らなければなりません。そんな中、私を気遣って遊びに連れ出してくれたことに感銘を受けました。
  

 
プレゼンしたスライドの一部
  もうひとつは2週目、臨床検査の教授から私にも他の学生と同じように英語の論文を読んで、皆の前でプレゼンテーションせよという指示が出ました。日本では英語の論文など読んだこともありませんし、英語でのプレゼンテーションも未経験です。猶予は4日間ありましたが、受け取った論文も多変量回析に関する難解なもので、3日費やしても論文を完全には解読できていませんでした。そんなとき、班員の一人が心配して進捗状況をチェックしてくれるというのです。自分の発表の準備も忙しいのに私の論文を読んで、スライド作りのアドバイスをくれました。論文の解釈で二人の意見が食い違う部分があり、夜中の10時まで宿舎のそばにあるカフェで議論を交わしました。彼女のおかげで無事プレゼンテーションを終えることができ、教授にも難しい論文なのによく読み込んでわかりやすくまとめたね、とお褒めの言葉を頂きました。なぜこんなに親身になってくれるのか聞いたとき、あなたは私にとってもこの大学にとっても大切な客人なのだから当然だよ。と彼女は言っていました。


医師となる前に医学生という立場で学ぶ貴重な体験


  2週間という短い期間ではありましたが、慶山大学の先生や学生達と接し、そのレベルの高さに刺激を受けるとともにホスピタリティに感動しました。医師となる前に、医学生という立場から他の国の医療やその背景にある文化に触れて学ぶことができたのは非常に貴重な経験であったのではないかと思います。このような機会を与えてくださった康先生と金先生を始めとする先生方、留学のための手続き等を行っていただいた学生係の方々、そして援助をいただいた同窓会の方々には感謝の気持ちでいっぱいでございます。今後もこの素晴らしい交換留学プログラムが発展しつつ継続していくことを祈念して結びの言葉とさせていただきます。
  
南江に映る晋州城の夜景
班員達とドライブ
班員達とバーベキュー

  
  

  
 
 
   慶尚大学医学部臨床実習 感想文
医学科6年 谷口 義章

  
  私は6年次の4月の研究室配属期間を利用し、韓国の慶尚大学で2週間臨床実習をさせていただきました。
滞在中の私のスケジュールは、1週目は麻酔科、2週目は放射線科で慶尚大学の学生とともに実習をするというものでした。医学的な知識だけではなく、韓国の医療制度や教育についても学び、文化に触れ、非常に密度の濃い2週間を送ることができました。


     
現地の学生の勤勉に衝撃


  実習を始めるにあたってまず私が衝撃を受けたのは、現地の学生の勤勉さでした。1週目の麻酔科では基本的に、午前はドクターによる講義を聴き、午後にそれに関する手技(採血や気管挿管など)を実際に練習するというスケジュールだったのですが、九州大学の臨床実習では練習しないような吸引や脊椎麻酔といった手技でさえも、彼らは淀みない手つきでこなしていました。訊いてみると、その手技がほぼ完璧にできるようになるまで前日の夜に練習してから臨んでいるということでした。韓国の医師国家試験ではOSCEも課せられるということもひとつにはあると思いますが、医学的知識の量だけでなく韓国の学生の勉強に対する真摯さを象徴しているようでした。

  
いつのまにか楽しみのひとつとなった英会話


  また、現地でのコミュニケーションは全て英語でした。英会話が不得手な私は、出発前から意思疎通ができるかどうか心配していました。慶尚の学生たちは皆流暢に英語を操り、初めのうちは聞き取ることにも苦労しました。しかし、その日の会話の中でわからなかった英語表現を寮に帰ってから調べて翌日使ってみたり、どんな取るに足らないことでも声に出して伝えてみたりといったことを繰り返しているうちに、次第に耳も慣れ、2週目には自然と意思疎通ができるようになっていました。旅立つ前はネックでしかなかった英会話が、いつのまにか楽しみのひとつになり、今回のプログラムでの思わぬ収穫となりました。

  実習班の学生たちは突然やってきた私に対して壁をつくるようなことはいっさいなく、ともに学ぶ仲間として気さくに接してくださいました。また、毎日「今日は学校が終わったら予定はあるのか」と尋ねて下さり、特に予定が入っていないことを伝えると食事や観光に連れて行って下さいました。そのため、滞在中は異国での心細さを感じることはありませんでした。

韓国の医療現場の実際を学び、新たな友人を得て、文化を肌で感じた非常に有意義な時間

  
  この2週間を通して、韓国の医療現場の実際を学び、新たな友人を得て、文化を肌で感じ、非常に有意義な時間を過ごすことができました。およそこういった活動には積極的でなかった私ですが、このプログラムに参加することができて本当に良かったと思っております。
  最後になりますが、本プログラムの責任者であります慶尚大学病院臨床検査部  金教授ならびに各科スタッフの方々、私を快く班に受け入れてくださった学生の皆さん、そしてこのような得難い経験をする機会を与えてくださった康東天教授に深く心より感謝申し上げます。

  

  
NEW!!
 
   慶尚大学医学部実習 感想文
医学科6年 児 啓介

  
  6年次4月の基礎配属の期間に、韓国の慶尚大学で2週間実習する機会を頂きました。
5年生の終わりごろ、基礎配属の選択期間が迫っていたときに、友人から韓国で短期実習が出来るプログラムがあることを聞き、康先生に実習プログラムに関する話を聞きに行ったのがきっかけでした。他国の人と英語でコミュニケーションをとる機会を作りたかった事に加え、他国の大学の医学部の病院実習に興味があった事もあり、このプログラムに募集をしました。
それほど英語を話すのが得意でない私が、全く知らないところで本当に大丈夫だろうかと、直前はかなり不安でした。しかし、実際に行ってみると想像を超えるほどのとても良い経験が出来ました。今回の体験と感想について簡単に書こうと思います。


     
実習について


  慶尚大学は、釜山から車で1時間半ほど離れた晋州(ジンジュ)という街にあります。

  私は、前半の週がcardiology(循環器科)、後半の週がanesthesiology(麻酔科)での実習という予定でした。Cardiologyは、韓国の2人の学生と一緒に心エコーやカテーテル治療、ペースメーカー植え込み術などの見学を行い、先生からの検査や治療の説明を受けるという実習内容でした。また、シミュレーターを用いて、心音を聴き疾患を推測してディスカッションするというような実習も行いました。普段学生に韓国語で説明している先生は、今回私が参加していたこともあり、終始英語で説明をして下さいました。英語での説明を理解したり、質問に英語で答えたりするのは大変苦労しましたが、この1週間はかなり勉強になりました。後半の週では、7人の学生と一緒に実習を行い、手術見学や講義に加えて、韓国の学生が課せられている麻酔科領域でのOSCEの練習を一緒に行いました。OSCEは、私が4年生の時に行ったOSCEでの項目に加えて、動脈採血・脊椎麻酔・気道確保・吸引など多くあり、普段の実習ではしたことのなかった手技の練習を行いました。

  
韓国の学生の勤勉さが大きな刺激となった


  私が最も印象に残ったのは、韓国の学生の多くがかなり真面目に医学に取り組んでいるということでした。皆、医学用語は英語で覚えていて、学生のパワーポイントを用いた症例発表も主訴や身体所見・疾患名は全て英語を用いており、積極的に先生とも議論を交わしていました。前半の実習で一緒だった学生は3年生(日本の5年生にあたる)でしたが、知識量が豊富で、教えてもらうことがかなり多かったです。先生も学生に対して、多くの時間を割いて非常に熱心に教えており、学生がそれに真剣に応えて勉強しているというような印象を持ちました。韓国の学生の勤勉さを間近に見て、同じ医学生としてかなり大きな刺激になりました。
  

拙い英語でも楽しくコミュニケーションがとれた

  
  韓国の学生の多くは英語をスラスラ話せていましたが、そうでない学生もいました。それでも決して恥ずかしがることなく、多くの学生が積極的に話しかけてくれて、こちらが拙い英語でも楽しくコミュニケーションを取ることが出来ました。韓国の料理を紹介してもらったり、日本の観光地や文化のこと、日本と韓国の医療制度や社会の違い、お互いの将来のことなど様々に話したのを覚えています。同時に、本当に自分が言いたいことを英語で表現し、相手に伝えることの難しさも実感しました。英語はこれから少なからず必要になるので、今より上手く話せるようになりたいと強く思いました。

韓国の学生は温かく接してくれ、とても楽しく刺激的な生活

  
  最後の何日間かは、病院の都合により学生の病院実習が一切出来ず、自由な時間が多く出来たこともあり、韓国の学生が隣の町を案内してくれ、一緒にバーベキューをしたり、少し遠くの方に観光したりしました。また、偶然週末に医学生によるスポーツ大会があり、一緒に参加させてもらったのも良い思い出です。短い間だったにもかかわらず、韓国の学生は非常に温かく接してくれて、私の行く前の不安はすぐに飛び去り、とても楽しく刺激的な生活を送ることができました。

  
次に繋げることの出来る良い機会となった

  
  これまでとは全く違う場所での実習を通して、本当に多くの出会いがあり、新たな考え方や目標を持つことが出来ました。短い期間ではありましたが、自分のこれまでの学習態度を振り返り次に繋げることのできる良い機会になったと思います。
このような貴重な機会を与えて下さった康先生、慶尚大学検査部のKim先生をはじめとする先生方、韓国の学生の皆さん、お世話になった全ての方々、本当にありがとうございました。後輩の皆さんにも、ぜひこのプログラムを活用してほしいと思います。
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