医学科長挨拶

医学科長挨拶

九州大学医学部医学科長 須藤信行

九州大学医学部は、1903年(明治36年)にこの「馬出(まいだし)」の地に京都帝国大学福岡医科大学として開設され、1911年(明治44年)には九州帝国大学医科大学となり、その後いくつかの名称変更等を経て、現在に至っています。

この間、九州大学医学部は一貫して、人類の健康と福祉の増進に貢献する医師と医学研究者の育成をその使命としてきました。その結果、世界の医学界に誇る数々の研究業績とともに、我が国のみならず世界の医学・医療を支える幾多の人材を輩出しています。

医学は、生命の成り立ち、病態、病因に迫っていくいわゆる「基礎医学」という分野と、治療法開発と患者さんを実際に治療する、いわゆる「臨床医学」の両輪が協力して成り立っています。医師の道には、医学の知識だけではなく、人間性や思考力、倫理観の醸成も重要で、患者さんと 向き合い、人々の喜びや悲しみに寄り添い、優しさと尊厳を持って接すること、さらに看護師、医療技術者、薬剤師など、多くの専門家と協力することが求められます。したがってコミュニケーション能力や協働力を磨くことも大切です。

医学部医学科のカリキュラムは、入学初年次は教養や一般的な常識を培うため、1年間伊都キャンパスで学び、2年目からは、学びの場所を病院キャンパスに移して、本格的な医学・医療の勉強を開始することとなります。

  • 基礎医学:医学の基礎となる科目を学びます。解剖学、生理学、病理学、薬理学など、人体の構造や機能、疾患のメカニズムについて学びます。
  • 臨床医学:疾患の診断と治療について学びます。内科学、外科学、小児科学、産婦人科学など、さまざまな臨床科目をカバーします。症例の解析や臨床実習を通じて、実際の医療現場での経験を積む機会も提供されます。
  • 公衆衛生学:予防医学や集団の健康管理について学びます。感染症対策、健康政策、エピデミオロジーなど、社会全体の健康を促進するための知識とスキルを習得します。
  • 医療倫理・法学:医療倫理や医療法に関する教育も重要な一部です。患者の権利や医療倫理に基づいた医療の実践方法を学びます。

また、臨床実習は、主として全国の大学病院の中でも最大級の規模を誇り、多くの高度先進医療技術の備わっている九州大学病院で行われ、地域の医療機関や保健所への派遣も合わせて、実践的な経験を得ることができます。

更に九州大学では、一般的な医学部の課程に加えて数年間大学院で研究を行うことにより、卒業時にMD(医学士)とPhD(医学博士)の両方を取得することができる「MD-PhDコース制度」を設定しています。本コースを選択した学生は医学科4年次を修了した時点でいったん休学し、そのまま大学院博士課程(原則4年間)に進学します。そこで研究を行い、医学博士(PhD)を授与された後、医学科の5年生に復学し、残りの課程を修了して医学科を卒業することになります。もちろん、医学科を卒業し、医師国家試験を受けた後に研修医を経ないで大学院博士課程に入学する方や、医学科卒業後に研修医そして専門医として3〜5年ほど臨床修練を行った後に大学院博士課程に入学される方もいます。MD-PhDコースを選択した人は、将来そのまま研究者になることも可能であり、また基礎医学研究で培った深い知識やものの見方を活用して臨床医学研究や医療に役立てることもできます。

九州大学医学部には皆さんの将来の夢を実現するための環境が整っています。医学部での学びは決して容易ではありませんが、その分、やりがいのあることばかりです。皆さんには九州大学を目指して勉学に励んで頂き、入学後は私達と一緒に、新しい医学を切り開いていきましょう。

九州大学医学部医学科長
須藤 信行

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