教授からのメッセージ
Interview
医学を志されたのはいつ頃ですか。
どのように学生生活を過ごされましたか。
学部学生時代のときの研究経験についてお聞かせください。
臨床医を目指さずに基礎研究者を選択された理由をお聞かせください。
4年生の自主研究期間の後、5,6年での臨床実習では真剣に授業、実習に取り組みました。しかし、周りのみんなと同じ熱量で医師としての使命感を感じることが出来ず、いつしか「臨床は今しかやらないから真剣に取りくもう。」という気持ちを持つようになりました。サイエンスのことを考えている方が自分に向いていたのでしょうね。そうしたこともあり、私は卒業後、臨床医としての研修は受けず、そのまま大学院に進学をしました。私の時代では、基礎研究者として従事していくのに医師免許は求められてはいなかったのですが、医師免許も取得しました。臨床実習と同じく「先でやらないから今は真剣に取り組もう」という気持ちでした。
先生の研究について簡単に教えてください。
このような研究の面白い側面として、関連のなさそうな分野同士がつながることがあります。以前に私の研究室で頭蓋骨の骨の継ぎ目の湾曲構造形成について数理モデル化したのですが、それが最近になって植物の葉の裏の表皮細胞の細胞壁の湾曲構造の形成にそのまま使えることがわかりました。空間スケールも種も全く違うのですが、それが数理モデルを介してつながることがあるんですね。
現在の専門に進まれることを決められたのはいつ頃で、そのきっかけをお聞かせください。
大学院での所属研究室を希望する際、私は研究室の指導方針等ではなく、私の積極性と自主性を持って取り組む姿勢を尊重してくださる先生を選びました。これは、学部生のときの自主研究期間での経験が影響していると思います。塩田浩平先生に師事させて頂いたのですが、塩田教授は全て学生の自主性に任せ、トラブルのあったときの最低限の保障はするというスタンスの先生でした。自由に研究に取り組ませて頂けて、大学院の4年間で手の骨格の形成に関して3本の論文を書きました。 卒業後、京都大学での2年間の助教を経て、日本学術振興会の海外特別研究員として、多細胞の形作りを行っている英国の研究室に留学をしました。英国では日本と慣習が違って、研究室では拘束時間が少ないのが印象的でした。その研究室では、稼動時間が少なくとも成果は出していましたので、トータルの稼動時間を延ばすのではなく、いかにコンディションの良い稼動できる時間を増やすか大事だと感じました。
こうして、学部学生、大学院生のときに実験のテクニカルなことを学び、留学先のラボで数理の取り扱いを学び、現在の専門に結びついていったように感じます。
現在のやりがいをお聞かせください。
また、わからないことがわかっていく感覚も楽しく感じています。研究で必要だけれども理解できない問題を何ヶ月も(時によっても何年も)頭の中で飼っていることがあります。たくさんの数学者と議論を重ねていくうちに、ある日それが繋がって、なぜ今までそれが理解できなかったのか、その理由さえわからなくなる瞬間があります。そういったことを純粋に楽しんでいます。
そして実験です。実験は9割方予想とおりの結果にはなりません。それが失敗なのかというとそうではなく、予想もしなかった結果から教えられることも多々あり、それは楽しいですし、逆に予想とおりの実験結果が得られたときに快感はものすごく、他に変えることの出来ない充足感を感じます。
学生さんにメッセージをお願いします。
また、学生時代は家でじっとしているのではなく、勉学に限らず興味にあることにのめりこんでください。そうした経験が後に役にたつと思います。役にたつ経験といえば、旅行や読書などを思い描きがちですが、例えば友人と呑みにいったりだとか、色々なことが自分のスキルになると思います。自分を思い返せば、小学校時代にゲームをプログラミングしていたのですが、完全に遊びでした。進学したのは医学部で全く関連性がないように思っていたのですが、現在こうして結びつき私の研究の礎になっています。
三浦教授について
三浦 岳 教授
医学研究院 基礎医学部門 生体制御学講座 系統解剖学分野
趣味は読書。漫画も読まれるそうです。漫画は日本の現代社会がよく写しだされていると感じるとのこと。好きな漫画家は島本和彦先生。思考の転換をしたいときは、天神を散歩し、行き着けの喫茶店にノートパソコンを持ち込み仕事をすると良い気分転換になり進むのだそう。
医学研究院 基礎医学部門 生体制御学講座 系統解剖学分野
趣味は読書。漫画も読まれるそうです。漫画は日本の現代社会がよく写しだされていると感じるとのこと。好きな漫画家は島本和彦先生。思考の転換をしたいときは、天神を散歩し、行き着けの喫茶店にノートパソコンを持ち込み仕事をすると良い気分転換になり進むのだそう。