教授からのメッセージ
Interview
研究者を志されたのはいつ頃ですか。
どのように学生生活を過ごされましたか。
研究者としての初期の歩みをお聞かせください。
研究者としての基礎を身につけたのは、22歳から28歳くらいまでの期間だったと思います。学部生の頃から大学院修士課程に進学した初めの頃までは、とにかく実験結果を素直に捉え、理由を考え、理論に基づき次の実験を計画する。ひたすらその繰り返しを行いました。研究者として本格的にトレーニングを積むことができたのは、修士を卒業し、助手として働きだした24,25歳の頃だと思います。私は修士を卒業した後、東京理科大学生命科学研究所の助手(現在の助教)として採用して頂いたのですが、研究者としては半人前であったと思います。それでも、学生を指導する立場になり、一緒に実験を行い、指導というか共に考えることを繰り返していくうちに、研究者として本当の力がついたと思います。たくさんの先生にお世話になり、実験の仕方、考え方の研鑽を積ませて頂きました。その時に身についたことは、今でも活きていますし、むしろ変っていません。
現在の専門に進まれたきっかけをお聞かせください。
体外受精は1980年代に日本でも臨床の場で活用され始め、私が学生のときには技術的には目新しいものではなかったのかもしれませんが、当時、自分が実際にやってみての感動は凄いものがありましたし、クローン技術やES細胞、iPS細胞など発生工学的な技術は体外受精の研究を基盤としています。まだ解明されていないことも多く、深く探求を続けていきたいと思います。
研究の面白さを教えてください。
それから、基礎研究の面白さは、いい意味で何の役に立つかわからないことだと思います。どのような応用研究に利用されるかわからない。まさに瓢箪から駒のような、意外で無限の可能性を秘めています。現在、体外受精の技術も臨床の場で活用され、多くの方に喜びをもたらしています。その中でも諦めざるを得ない方がいらっしゃることも現実です。この現状を打破するのは、基本的メカニズムの解明、基礎研究の積み重ねが必要となります。私の研究も貢献できればと願っていますし、我々基礎研究者に大切なのは、積み重ねていくことだと思います。
やりがいと目標をお聞かせください。
目標と聞かれても、サイエンスは続いていくもので、ひとつがわかれば次の疑問が出てきますし、ゴールという意味での目標はありません。分岐点という意味での目標は2つあげられます。ひとつは、卵母細胞がどのようなメカニズムで動かしているか、卵子がどうやってできているか、その糸口を掴みたいと思います。もうひとつは、卵子作製の技術を向上させることです。様々な動物に応用できるようにするなど、その技術を確かなものにしたいと思います。
学生さんにメッセージをお願いします。
それから、若い時に感動する経験をして欲しいと思います。2002年に私が、一から実験をデザインし書き上げた論文が掲載されたのですが、あの時の感動は今でも覚えています。自分の考えが世に認められたと思いとても嬉しかったです。その後、もっとメジャーな雑誌に掲載して頂いたこともありますが、あの時の感動には代えられなかったです。若い人にはこういった経験が大切だと思います。
研究者を目指す方に向けては、研究者として大事なものは、興味を持ってやっていくことが出来るか、執着して持続してやれるかどうか、だと思います。好奇心を持って日々の積み重ねを継続して欲しいと思います。
林教授について
林 克彦 教授
医学研究院 応用幹細胞医科学部門 応用幹細胞医科学講座 ヒトゲノム幹細胞医学分野
一番楽しい時間は研究をしているときで、趣味は研究とのこと。他にあえて挙げるなら読書、釣りやたまに水泳。
医学研究院 応用幹細胞医科学部門 応用幹細胞医科学講座 ヒトゲノム幹細胞医学分野
一番楽しい時間は研究をしているときで、趣味は研究とのこと。他にあえて挙げるなら読書、釣りやたまに水泳。