教授からのメッセージ
Interview
医師を志されたのはいつ頃ですか。
九州大学を選んだ理由を教えてください。
福岡の街も魅力的です。高校卒業後、多くの同郷の友人が東京へ出ましたので、私も1年間東京で浪人生活を送りました。翌年福岡に来たわけですが、東京と違って適度に自然があり、適度に都会で、食べ物もおいしく、博多弁も心地良い、そんな福岡が大好きになりました。
どのような学生時代を過ごされましたか。
現在の専門に進まれることになったきっかけを教えてください。
研究経験について教えてください
留学についてお聞かせください。
私は留学のために、英語論文を読むこと以外、スクールに通うなど英語に対して特別な準備はやっていませんでした。それでも留学先での仕事では不思議と支障ありませんでした。専門用語は論文で一通り頭に入っているし、場の流れから会話の内容を予測することができました。研究チームの戦力として溶け込み、充実した時間を過ごしました。留学で学んだ収穫は、「仕事に国の隔たりはなく、日本でいい仕事ができる人は海外へ行っても通用する」という至極当たり前のことでした。
とは言っても仕事の場を離れると勝手が違いました。飲み会などでは何が話されるか予測不能で、みんなが盛り上がっている輪の中には入れないのです。難しい専門用語を使って仕事はできるのに、簡単な会話がわからない。滑稽ですが、英語の勉強不足がたたった部分です。
言語は重要なコミュニケーションツールですが、それが全てでもありません。誠実に仕事に取り組むことが出来る人は、日本でも海外でも大丈夫です。留学は、言語の壁や経済的なことなど、ハードル高く感じるかもしれませんが、思い切って挑戦して欲しいと思います。
今のやりがいと目標をお聞かせください。
今、私の研究室では大きく3つのことに取り組んでいます。一つ目は網膜の自然再生。これは自然治癒力によって失った機能を取り戻すことを目指したものです。二つ目は眼科手術ロボット開発。外科手術補助ロボット・ダビンチの眼科版と思うと分かりやすいと思います。三つ目は、久山町研究と共同で取り組んでいるAI技術を活用した、眼底写真の解析とゲノム情報を組み合わせた病気リスクの予測システム開発です。
まとまりのない3テーマですが、このように設定しているのは受け入れ間口を広く持ちたいと思うからです。これだけ間口がひろいと、どこかに自分のテーマがあります。それぞれの興味に合致するものが私の研究室にあり、自らの意思で私たちのチームの一員になってくれる。そして一緒に仕事の成功を分かち合うことが出来、その成功体験を共に重ねていく。これを繰り返していくことで、喜びは数倍に膨らみます。こんな喜びの増幅を生むチームを作ることが、教授職の一番のやりがいであり目標であると思います。
3つの研究について詳しく教えてください。
眼科手術ロボットについて。私はかねてより「眼の中に入る小人を作りたい」と夢見てきました。眼の中に入ることが出来て、裏側から手術を行うような、そんなことが出来たらいいと。眼科の手術はミクロ単位の世界です。日本の得意とするテクノロジーが活かせる分野で、幸い素晴らしい工学部の先生と出会うことができました。それで眼科手術ロボットの共同開発に取り組むことにしたのです。
病気リスクの予測システムについて。眼は体の覗き窓だと私は思っています。眼球内に光を当てて生体顕微鏡で拡大してみると、どういう生体現象が起きているか直に観察でき、全身の状態と関連づけられます。眼科にはこれまでの眼底写真が膨大に蓄積されています。その情報解析をAIが担いゲノム情報と組み合わせることで、各人の将来の病気リスク予測を行うことができると考えています。
最後に学生さんにメッセージをお願いします。
学生のうちに、これからの人生についてゆっくり考える時間を持ってください。一見無駄かな?と思うことにチャレンジしてみるのもいい。そういうことも大切です。何に興味を持ってもいいし、その価値を決めるのは自分自身です。医学部には素晴らしい先生がそろっているので話を聞きに行ってみてください。きっとすばらしい出会いがあるでしょう。私も学生が自分のところに来てくれて、私の話で人生が変わった。そんなことが起きた時はとても嬉しく感じます。
自分の可能性を信じ、誠実に自分の仕事をやり遂げる人物になって欲しいと思います。
園田教授について
園田 康平 教授
医学研究院 臨床医学部門 外科学講座 眼科学分野
趣味は散歩。散歩をすると頭の中がリセットされ、いろんなアイデアが浮かぶそうです。
医学研究院 臨床医学部門 外科学講座 眼科学分野
趣味は散歩。散歩をすると頭の中がリセットされ、いろんなアイデアが浮かぶそうです。