在学生の声
何を大切にしたいかを意識して、
自希望の進路を選んでください。
令和2年度 医学科6年 江崎 慈萌さん
医学を志したきっかけを教えてください。
受験勉強は大変でしたか。
担任の先生は、「現役で進学しようと思わず、浪人してでも行きたい大学に入った方がいい。」とおっしゃる先生でした。私の第一志望はこの学科だったのですが、模試の判定では一番良くてB判定、普通はD判定でした。なので、入試も受かればいいかな。というくらいで気負いせずに受験しました。それが良かったのか現役で合格することができました。
受験勉強では得意科目を優先して取り組み、苦手科目の英語、数学はセンター試験と二次試験の間に詰め込みました。一日10時間以上勉強していました。数学は問題をこなして、解法を身に着ける作戦で、英語は長文と英作文を一日1問は取り組むようにしていました。なんでがんばれたのかなと思うけど、この持久力は3年生の8月まで目一杯取り組んだ陸上部で養われたのかもしれません。
入学してからの学習について教えてください。
2年生になって医学教育が始まり、DNAや発生などヒトについて学びます。暗記しないといけないこともかなり増えますが、私は生物が好きだったので、苦に感じることはなかったです。3年生の臨床科目では、医療現場で活躍されている医師の先生の講義を担当されます。教科書にも載っていないような最新の臨床現場のお話も聞くことが出来て、とても興味深かったです。
受験勉強と大学での学習の大きな違いは、受験勉強は問題を解けるようになることが目的で、勉強したことをすぐに問題にアウトプットしていくのですが、大学では頻繁に試験があるわけではなく、ひたすらに人体の成り立ちや仕組みなどを知識を受け取ります。例を出すと、薬だったらどの成分がどれに作用して治療につながるかなど、事細かに整理して覚えていく感じです。自分の中に蓄えていくようなイメージで、大変といえば大変ですが、楽しいと言えば楽しいと思います。
授業外で印象に残ったことを教えてください。
アルバイトも家庭教師、飲食、コールセンターといろいろやってみました。それぞれに学ぶことがあり、どれもいい経験になったのですが、ここではコールセンターのアルバイトの話を取り上げます。コールセンターではお客様からの電話を受けて、商品の内容を説明してお客様に選んでいただくまでが一連の流れになります。マニュアルもあるのですが、お客様ひとりひとり違うので、それぞれが理解しやすいように話すことを心掛けていました。優しいお客様ばかりで、ちゃんと説明すると良さを分かっていただました。説明から契約までつながることは達成感があり、声だけとはいえど人と人とのコミュニケーションだと感じていい経験になったと思います。年輩の方も働いておられ、私よりとても上手くてすごいと思いました。お客様の前に出る仕事ではないので服装も自由で、個性的なファッションの方もいらっしゃて、そのファッションと声のギャップが大きくて面白かったです。
病棟実習について印象に残ったことを教えてください。
6年生で配属された腫瘍内科は、患者さんのQOLを強く意識するきっかけになりました。ここでは、手術で取り除くことのできない癌が、それ以上大きくならないよう、抗がん剤治療を受けられている患者さんにお会いしました。癌の告知から受容までの心の経過、癌の痛みの治療についてなど、患者さん側からと医師側からの双方のお話を聞かせて頂くことができました。
臨床実習では、実際の医療現場について身を持って知ることができました。これは腫瘍内科の先生に限ったことではないのですが、医師の方々は本当にかっこよくて、優しくて、患者さんのために働いていらっしゃることを感じて、より一層憧れが強くなりました。
研究室配属のこと教えてください。
これからの進路を教えてください。
将来的には、膠原病内科や腫瘍内科など、患者さんが病気と上手く付き合っていくことが求められるような診療科に進みたいと今は思います。完治が難しい患者さんに専門家として手助けしながら、寄り添うことが出来るようになり、患者さんのQOLを高めることに役立ちたいと思います。そう思うのは臨床実習が大きく影響しています。実際にそのような先生ばかりで自分もそうなろうと思いました。そして強く思うのは、医学の進歩に置いていかれないために、これからもひたすらに勉強していくことです。どんどん新しい知識を取り入れて適切に患者さんに提供できるように。それはそうなりたいではなく、そうでなければならないのだと思っています。
そして、一方ではどこかの時期に大学院に進学して研究に取り組みをしたいと思います。これは研究室配属で感じたときから思いました。治療法の確立に貢献したい気持ちが大きいのですが、大学での勉強が楽しかったこともあります。様々な生命現象、病態についてその仕組みを体系的に学び、考えることは楽しいです。加えて今までわからなかったことを解明することに貢献出来たらそれはとてもすごいことだと思い、研究に携われる機会を持ちたいと思います。
最後に、医学を志す学生さんにメッセージをください。
私は生物が好きでその勉強をするということで入学して来たので、医学部の勉強に抵抗はありませんでした。医師になりたいと思っていても、医学科で学ぶことについてはあまりイメージ出来ていない方も多いのかもしれません。医学を学ぶための科だということを意識すると、入学してから「こんなに学ばないといけないのか。ここまでやらないといけないの。」という気持ちを持たずにポジティブに学習が進められると思います。それから医学科のイメージで閉鎖的で限られた世界のように思っている方もいるかもしれませんが、全然そんなことはありません。部活やバイト、趣味など自分のしたいことを第一にして、だからこそ勉強も頑張るというスタンスの人も多いです。
そして、医師の進路は多様に広がっていると思います。研究一筋で卒業後、そのまま研究の道に進まれる方もいらっしゃいますし、もちろんずっと臨床に携われる方もいる。政治分野に興味がありそちらに進まれる方もいらっしゃいますし、医学科に進学したからといって一つの道しかないということはありません。 ただし、臨床医を目指している人が多いので流されそうになるかもしれません。自分が何になりたいか、何を大切にしたいかを意識しておくことで、自分の希望に沿った将来を選べると思います。ぜひ医学科での学生生活、医師としての将来を楽しみに入学して来てください。