在学生の声
平成22年度 医学科6年 諸石 耕介さん
九州大学医学科入学後、医学科の必須専門科目数の多さに圧倒されながらも、学生が自主性を持つことが大切ではないかと考え意欲的にいろんなことをしている学生です。彼は5年生時に3年生向け授業を企画したり、サークル活動を通して応急手当を広めたりしていました。
6年生の臨床実習を終えた今、今までの学生生活で感じたことや、今後どのような将来像を描いているのかの話を聞きました。
医学を志したのはいつ頃ですか?
入学してからイメージと違ったことはありますか。
例えば遺伝学などでも最近解明されたことも多く、どうしても学ばないといけない範囲が広くなり、時間的余裕がないのは仕方がないとも思います。ただ、自主性をもって何かしたいとは常に思っていました。
学生生活で印象に残った出来事は何ですか。
Problem Based Learning (PBL)は問題解決型学習というもので、多くの医学部で行われている学習スタイルです。大学によってやり方は異なりますが、「診断学PBL」では診断学に焦点を当てPBL形式の授業を企画しました。例えば、「32歳の男性が『お腹が痛い』といってやってきました。」という設定が与えられます。そこから6人くらいのグループで「どんな病気が考えられるか(食中毒など)」を話し合って行きます。次に「どんなことを聞きたいか(生ものを食べませんでしたか)」を考えて行きます。このようなことを繰り返し実際の病名を診断つけていくものです。
医学教育学の吉田先生に多くのアドバイスは頂きましたが、基本は全部学生だけで行いました。2度韓国のInje大学に行きPBLを体験したことがあり、ぜひ九大でも行いたいと思っていたので授業が無事終わりうれしく思います。僕一人の力では無理で、今でも一緒に企画してくれた友達や授業を選択してくれた学生には感謝しています。
今までは学生同士で教えることが主な活動でした。しかし今年は下級生が中心となり、学祭に心臓マッサージとAEDの体験コーナーを出展し、一般の方も教えました。このような活動が来年以降も続くようにサポートしていけたらと思います。
大学で学習することの他に学習したことや身に付けたスキルを教えてください。
英語版のほうが、価格が安価ということもあるのですが、医学書などは英語のものを使って英語能力を高めるように心掛けました。他にはコミュニケーション能力を高めようといろんな本を読んだりしました。悩んでいた訳ではないんですが。
これからの進路を教えてください。
まずは、内科又は小児科の臨床医になりたいと思います。どちらかに絞り込むのは臨床研修中に決めたいと思いますが。特に小児科は子供が好きということ、子供を救うというのは未来をつくることだと思い強く魅かれます。
それでも、2年生の時から生化学の横溝先生の研究室で実験をさせて頂いた経験もあり、研究者になりたい気持ちと、人に接することや教えることも好きなので、医学教育の方に進みたい気持ちもあります。進路が広すぎて今はまだ絞りこむことができませんが、いずれの道も患者さんと実際に接する臨床医の経験は活きてくると思います。研究者になるには年をとってからでは不利な部分もあるかと思いますが、それでも臨床医での経験を積みたいと思います。
最後に医学を志す学生さんにメッセージをください。
本物をみる方がいい。本物というか本質というか。
具体的には人とたくさん出会うようにする、そうすると本物を持った人に出会う確率があがると思います。自分も出会ったかどうかはまだ分かりません。ただ、人との出会いは大切だったと思います。
学習面では、自分のスタイルを確立した方がいいと思います。部活で頑張っている人、勉強を頑張っている人、各々方向性が違いどちらの方がいいかと比較できるものではないと思います。ただ、医師としての能力は臨床実習などで患者さんと接して養われることを前提として、そのための最低限の知識すらも学習しないようならば他の職に就いた方がいいと思います。