在学生の声

在学生の声

コミュニケーション能力を高めること。友人の輪を広げること。この2つは最も大切な事だと思います。


平成23年度 医学科6年 永田 拓也さん

医学を志した理由を教えてください。

 実は入学前は医者(臨床医)にこだわりがあったわけではないんです。もともと探究心の強い性格で、どちらかというと研究職の方に興味がありました。気になったことがわかるようになるっていうことが楽しいんです。医学科を選んだのは、以前から医学はものすごいスピードで進化していると聞いていましたので、学問として大きな進歩のある分野が一番面白いと思った事からです。それから医師は臨床と研究の両方を行うことが出来るのも医学部を選んだ理由のひとつです。
 

入学してからイメージと違ったことはありますか。

 高校生の頃は、医学科は6年も何を勉強するんだろうと思っていましたが、6年でも足りないくらいに勉強すべきことはあるし、掘り下げるともっともっと学ぶことはできるし…
 医学科での勉強は、学問的には面白く奥深いものですが、基礎から学ぶため、知識が膨大に積み重なっていくという感じでした。

学生生活を振り返って印象に残った出来事はなんですか。

 テニスサークルや生協のお手伝いサークル、救命救急サークルの立上げや韓国の留学や研究室配属での久山町研究での研究や家庭教師のバイトなどたくさんあるのですが、一番は4年生のときからやっているQ- physicalという勉強会です。

 Q-physicalは、10年前に第一内科の循環器グループで研修医向けに始められた勉強会で、今は医学科の5.6年生が引継いで行っています。医学科の授業では、心筋梗塞とは何か、肺炎とは何かと、それぞれについて学ぶのですが、その二つは同じく胸痛の原因となる病気なんです。この勉強会では、例えば胸痛を訴える患者さんを起点にして、胸痛を起こす原因の症例を探るための問診、診察、検査の内容をみんなディスカッションしていきます。授業と違って症状でつながる疾患を横断的に学べるところが面白いところですね。ひと通り疾患について考え、模擬診療を行うことができるので、臨床実習に入った5.6年生にとても有効な勉強会です。勉強会といっても実際は、気軽に意見を出し合い、楽しくやっていましたけど。
 この勉強会で、Skypeを使用して全国の医学生と勉強会を開いたり、Ustream中継を行ったりと数多くの企画を立上げました。

Ustream配信
Ustream配信
 Ustream配信のきっかけは、臨床実習でお世話になった飯塚病院の先生です。Q-physicalのことを話すと、Ustreamでの配信を勧めて頂き、お力添えをくださいました。配信当日はTwitterでコメントを募り、それをUstreamの画面に表示させました。このコメントをリアルタイムで受取り、それを進行に反映させたので、見ている人は、ただ視聴するのではなく遠隔で参加しているような感覚を持てます。勉強会に参加することが難しい方や、ハードルを高く感じている方も気軽に参加することが出来るのではないでしょうか。

 この配信では、研修医をはじめとする幅広い方に視聴して頂けました。コメントには、症例検討に対しての真剣な内容や、「自分のところでこれを行うにはどんな風にできるか」などがあり、配信の効果はあったと思います。他大学でこのような勉強会をやっているところも、このように配信してお互いに刺激しあったり、英語で行うことで世界中の人に見てもらったり、もっともっと面白くしていけると思います。

※このUstream配信は平成23年12月14日の朝日新聞朝刊に掲載されました。

様々な活動の原動力と得られたことを教えてください。

韓国留学
韓国留学
 一番の原動力は、自分が「面白い」と思えることです(笑)。それから、自分に来たチャンスを活かして行こうと思っていることかもしれません。もし失敗したとしても、たとえ僅かでも自分のためになったらいいと思って挑戦しています。
 釜山大学の短期留学では、英語に対しての苦手意識があり参加を迷ったのですが、「いいや、腹くくろう」って思って参加してみたらなんとかなった。という感じでした。お互いネイティブ同士じゃないのも良かったのかも知れませんが、自分の英語も通じることができて、楽しくコミュニケーションを取ることが出来ました。韓国語も少しですが勉強しました。留学で知り合えたメンバーとは今も交流があります。
救命救急サークル
救命救急サークル
 九州大学でも他大学でも、先生はもちろん学生もすごいと思う人が多く、いい影響をうけることができました。救命救急サークルの立上げも佐賀大学の友人に勧められて始めることが出来ましたし、臨床実習では尊敬できる先生にも出会うことが出来、臨床医に対して深く興味を持つことができました。
 そして、Q-physicalのリーダーを一年間務めたことも良かったです。Q-physicalは本当に面白くて、学校の勉強よりも熱心に取り組んでいました。その半面、週1回のこの勉強会を運営するのには多くの苦労があり、その事は自分を成長させてくれたと思います。

これからの進路を教えてください。

 将来は、九大の先生方のように、臨床も研究もどちらも行う医師になりたいと思っています。 いろいろと紆余曲折ありまして、今は循環器内科に最も興味を持っています。それは、九大の循環器内科は、臨床も研究も非常にハイレベルであると感じたからや、患者さんを尊重した接し方など、いらっしゃる先生の人格が素晴らしく尊敬できると思ったからです。まずは、医者として最低限できることをまんべんなく身に付けながら、幅広く興味を持ち進んでいきたいと思っています。

最後に医学を志す学生さんにメッセージをください。

 4年生までの座学中心の勉強ではあまり感じませんでしたが、臨床実習を経た今、とても強く感じることは医師の仕事としてコミュニケーション能力は本当に大切だということです。 コミュニケーション能力というのは患者さんと話すという点でも大切ですが、チーム医療という点でも大切です。例えば、上司の医師の指示を仰ぐ際には、受け持ちの患者さんの病態を十分に説明しなければ判断ミスが起こる可能性があり、その一方で、プレゼンテーションの時間には制約があります。逆に自分がコメディカルのスタッフの方に患者さんの病態について聞かれた場合は、相手の立場に立ち、必要な情報を過不足なく的確に伝える必要があります。さらに緊急時には、通常よりも短い時間に重要な情報をまとめ伝える必要があります。このように、チーム医療を十分に機能させるためには、チーム医療の中心となる医師の十分なコミュニケーション能力が不可欠です。

 また、高いコミュニケーション能力を持っている人は、苦手な分野があっても、その分野に精通している人に教えてもらうことができます。それは、自分がその分野に精通していることと同じくらい価値のあることだと思います。一人だとどうしても限界がある。人に頼ったり頼られたりすることは本当に大切な事だと思います。

 コミュニケーション能力を高めること。友人の輪を広げること。この2つは最も大切な事だと思いますね。自分のことを振り返ってみても、学生時代にもっといろいろやってもよかったと思っています。ある事に挑戦するかどうか迷った場合、友人を増やす選択肢はどちらであるかを考えて選択することが、自分にいい影響を与える道じゃないかと思います。

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